人を残す
師の訃報に接して、改めて「エマニュエル・レヴィナスによる鎮魂について」を読み直した。「存在するとは別のしかた」(autrement qu’etre)で、これからも教えを受け続けることになる。
財を残すは下、業を残すは中、人を残すが上 (後藤新平)だとすると、恩返しというのは、この「人」そして、その「人」を残す「人」になることに他ならない。
「あんたなぁ、還暦を過ぎたことは、教育に手を抜く理由にはならないんだよぉ」という怒声が聞こえてくると、寂しいとか、悲しいとかという気持ちは、ほんの世間体に十分な程度しか湧いてこないのであった。
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