メディカル二条河原の愛読者にとっては月並みな作品で申し訳ないが,月並みだってえことは,共感してくれる人がたくさんいるってえことだから,たまにはいいでしょう.
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以前は都立病院の部長職といえば,首都の臨床の最前線で指揮を執る花形として,診療科を問わず,各大学医局で奪い合いだったものだが,今は後継者を見つけるのに苦労する科がたくさんある.一応,ポジションが埋まっているところも,何らかの理由で現職が退けば,後任の部長がすぐ見つかるかどうか,誰も確信が持てないというのが正直なところだろう.ただでさえ給料が安いのに,石原の馬鹿が東京ERとか言って,医者の過労死の上に乗っかって人気取りをやるもんだから,過酷な労働条件を嫌って,医者が全く集まらなくなってしまった.
煩雑な書類仕事,雨後の筍のようにできる委員会での議長役の数々.かといって,本来の臨床現場の仕事は増えるばかりだ.おまけに部下は言うことは聞かない.研修医までもが労働条件を振りかざし,定刻に帰ってしまう.おかげで部長の自分が週に一度は当直・オンコール呼び出しだ.自分は一体何をやっているんだ.ここまで苦労して臨床をやってきたのは,こんな馬鹿げた雑用のためじゃない.このまま部長職を続けたって,毎年過労死のリスクが高まるだけだ.現場で働き詰での過労死ならまだいい.委員会,書類の山に押しつぶされての過労死なんざ,漫才のネタにもならない.勤務医として見るべき物はみんな見た.あとは自分の好きなことをやろう.
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なお,下記の記事が出たのは,私がこのコラムをアップロードした9月26日から3ヶ月も後である.下記の記事を予測していたわけではない.予測しなくたってわかっていたぐらい,ありふれたことだったのだ.合掌.
●医師過労自殺:公務災害と認定 都立府中病院勤務
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041230k0000m040087000c.html
99年9月に自殺した東京都立府中病院の部長(当時53歳)について、地方公務
員災害補償基金東京都支部(支部長・石原慎太郎都知事)は29日、労災に相当する
公務災害と認め、遺族に通知した。理由は明らかにされていないが、代理人の弁護士
は「医師の過労自殺を認定した画期的な判断」としている。
同病院は、東京都多摩地区で唯一の中核病院。医師でもある部長は、担当科の医師
が足りないため、管理業務のほかに手術にも立ち会い、平均残業時間は月99時間に
上った。担当科の医師は部長を含め常勤3人、非常勤2人の計5人だったが、99年
5月に計3人に減り、1人の退職が予定されていた。出身大学などに医師派遣を依頼
したが確保できず、悩んでいたという。【銭場裕司】 毎日新聞 2004年12月29日 23時02分