トップジャーナルでは別冊代金が大きな収入源になっていることは(公然の秘密というより)、周知の事実でしたが、はっきりと論文になると、わくわくしますね。さすがBMJ。
面白いのはジャーナルによって態度が真っ二つに分かれたことです。LancetとBMJは本体に加えてpublishing
groupとしての傘下ジャーナルのデータも提供しています。JAMA、NEJM、Annals
of Internal
MedicineはCOI開示を拒否しました。これらの米系ジャーナルは、やたらとジャーナルを乱発して商売する英系の会社とウチを一緒にしてくれるなってことなんでしょうかね。それなら余計にデータを開示してもよさそうなもんですが。
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製薬会社助成試験報告のリプリント注文は多い(Biotoday 2012/7/3)
製薬会社助成試験の報告は抜き刷り(reprint、リプリント)注文が多いことを示した解析結果が発表されました。
リプリントデータの提供をJournal of the American Medical Association,
Lancet, New England Journal of Medicine, Annals of Internal Medicine,BMJに依頼したところ、LancetとBMJから7誌のデータが提供されました。リプリント注文はLancetとBMJの大きな収入源の1つとなっていました。
High reprint orders in medical journals and pharmaceutical industry
funding: case-control study. BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e4212 (Published
28 June 2012)
http://www.bmj.com/content/344/bmj.e4212
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世界初の検討? 製薬企業の資金提供と論文のリプリント増加に関連
英オックスフォード大のグループがBMJに報告
MTpro 2012/7/2
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1207/1207004.html
英オックスフォード大学のAdam E.Handel氏らは,複数の有名医学雑誌の編集長に対しeメールで調査を実施。製薬企業の資金提供を受けて行われた研究に関する論文では,そうでない研究論文に比べてリプリント部数増加のオッズ比が有意に高かったとの報告をBMJ(2012;344:
e4212)に行った。
製薬企業の資金提供によるリプリント増加のオッズ比は最大27
「製薬企業は最も多く医学雑誌のリプリントを購入していると考えられる」とHandel氏ら。企業が資金提供を行った研究論文のリプリントをどれくらい購入しているかが,掲載先の出版社の論文アクセプトの判断に大きく影響するとの見解を示す。
同氏らは,有名医学雑誌(JAMA,Lancet,NEJM,Annals of Internal
Medicine,BMJ)の編集長に対し,eメールでリプリント部数の多かった研究論文の詳細を送るよう求めた。
LancetとBMJ,それぞれの関連ジャーナルを合わせた計7誌から回答があった。回答内容を基に解析を行った結果,7誌のリプリント部数の中央値は3,000部から多い場合は12万6,350部と大きな差があった。
製薬企業から資金提供を受けていた場合は,それ以外の資金提供または資金提供なしの場合に比べ,論文のリプリント部数増加のオッズ比(OR)が8.64(95%CI
5.09?14.68)と上昇。複数の企業による資金提供を受けていた場合でもORは3.72(2.43?5.70)と上昇していた。企業からの資金提供によるリプリント部数の増加のORが最大27.36に上っていた雑誌もあった。研究論文に用いられていたデザインがランダム化比較試験(RCT)かどうかでは,いずれの雑誌においてもリプリント部数のORの有意な上昇は確認されなかった。
同氏らは「製薬企業による資金提供は,研究論文のリプリント部数増加に関連していた」と結論付けている。
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