生活習慣病診療利権の消滅
血圧を測り,採血を指示し,処方箋を書く.それは医師免許さえあれば誰でもできる仕事だ.たとえ医師免許がなくたって,ニセ医者とばれない限り,誰でもできる仕事だ.
そして「お前の代わりなんていくらでもいるんだぞ」と言われても誰一人反論できない仕事だ.
AI遠隔診断で途上国の人々を救う。13歳で日本を飛び出し、見つけた居場所と未来像
国内初の高血圧オンライン診療サービス提供開始
オムロン ヘルスケア他、オンラインで患者と医師をつなぐ高血圧治療支援サービス提供
生活習慣病診療利権は消滅する.街中でふんぞり返って,やれお前は血圧が,血糖が,コレステロールが,果ては尿酸が高いだのと,医者面をして患者に薬を売りつけるだけの阿漕な商売は,もう成り立たなくなる.ただし,利権あるところに抵抗勢力あり.
もともと生活習慣病診療が利権化していなかった,つまり「抵抗勢力」が存在しなかったバングラデシュでは,遠隔診療のハードルも日本よりもずっと低かった.バングラデシュの先行事例に倣い,日本でも高血圧遠隔医療を展開するためには,木口小平のラッパと同様,生活習慣病診療利権を死んでも離そうとしない抵抗勢力に配慮し,「保険適用を目指さない」と宣言する必要があった.
1.患者が納得し,自由意志で診療サービスを購入する.正に自由診療である.
2.高血圧症のような生活習慣病の治療の意義は心血管疾患を始めとする合併症の予防である.予防に対して保険を適用しないのは我が国の国是である.
3.保険適用を目指すことによって生じる,厚労省とその背後にいる日医との無駄な軋轢を回避し,必要とする人に対して迅速に診療サービスを提供する.
日本経済新聞(宅配)が月額4,900円.定年退職した元刑務官が通う高松市内のフィットネスクラブでは,初期費用が9000円,デイタイム会員が月額6,500円である.待合室で待たされた挙げ句,血圧を測って薬を購入するだけなのに,平日の日中にわざわざ休みをとらくなくちゃならない!!そんな不愉快な真似を,もうしなくて済むんだったら,月額4600円なんて,喜んで払う.そういう患者はいくらでもいる.
今のところ持続血糖測定(CGM )のデータをクラウドに飛ばせるのは,ガーディアンコネクトだけだが,リブレも早晩対応予定と言っている.だから(テレメディーズでなくとも)糖尿病についても早晩同様のサービスが提供されるようになる.なお,インスリンを使っていない2型糖尿病患者さんでも,CGMデータから推算HbA1c(eA1c, 別名GMI: glucose management indicator)を推算できること,従来のHbA1cよりもGMIを使った方が治療の有効性も安全性も向上することついては→こちら.また,持続低血糖測定(CGM)については,糖尿病治療におけるデバイスの進歩〔日内会誌 107:586〜592,2018〕,持続血糖モニターからみた治療薬の効果(前編)がわかりやすく書かれている.
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AI遠隔診断で途上国の人々を救う。13歳で日本を飛び出し、見つけた居場所と未来像 Forbes JAPAN 2019/5/18
miup 代表取締役 酒匂真理
人口約1.6億人のバングラディシュでAIなどのIT技術をつかった遠隔診断から薬のデリバリ、臨床検査といったサービスを提供する東京大学発ベンチャー企業miup。その組織を率いるのが酒匂真理だ。
家族全員が医師という、医師一家に生まれた酒匂。自身も物心つく前から医師になることを当然視されてきた。小学生で不眠症になるほど、将来の選択肢がないことに深く思い悩んでいた酒匂は、13歳の時に人生の舵を大きくきる。家出同然で海外に飛び出した。それから約20年。彼女をいま支えるのは、意外にも嫌がっていた自身のルーツだ。
──2015年に設立したmiupについて教えてください。
miupはバングラデシュなどで遠隔医療・検診サービス、臨床検査センター運営、医療ソフトウェア開発と、主に3つの事業を展開しています。
1つ目の遠隔医療サービスは、都会に住む富裕層や中流層に向けたデリバリ型の検診サービスです。ウェブや電話で予約をすれば、医療従事者が自宅に来て血液検査などを行い、それらのデータを自社ラボで解析。診断結果を受けて、必要があれば医者とリモートでつないだり、薬をデリバリしたりします。現段階における、miupの収益源です。
2つ目は、臨床検査センターの受託と運営事業です。遠隔医療サービスを提供するにあたって自社のラボが必要になったことが、事業展開のきっかけです。そのうち、現地で「質がいい」との評判が立ち、他の病院などからも臨床検査を受託するようになりました。最近では現地に設立した子会社を通じて、バングラデシュに進出した日系企業が医療機関を新設するときの顧客管理システム開発や検査センター運営なども行っています。
3つ目が、AIを活用した検診・遠隔医療システムの開発です。miupはそもそも、世界の隅々にまで医療を届けるというミッションの下、ソフトウェア開発事業を軸にバングラデシュに進出しました。当初は、簡単な問診で病気を特定しトリアージできる遠隔医療の診断補助システムを作っていましたが、現在は、大量の検査数値を相関分析することで、BMIや血圧などの簡単な数値を基に疾患リスクが高い人を抽出する「AI検診モデル」を構築しています。
現段階で収益源になっているのは1と2の事業で、3は研究開発段階です。2018年度から国際協力機構(JICA)やコニカミノルタ社とともに、AIベースの検診・遠隔診断ソフトウェアの実証試験を進めています。急激な経済成長に伴い、バングラデシュでは糖尿病など慢性疾患に悩む人が急増中です。このサービスが生活習慣病対策に役立てばと考えています。
──なぜ、バングラデシュで事業展開しようと決めたのですか。
起業をする直前、約3カ月かけてアジアからアフリカまでめぐりました。そのなかで、ナイジェリアの現状を知ったのを機に、バングラデシュで事業を手掛けようと思い至りました。
途上国が経済発展する過程においては、海外直接投資は重要な要素です。当時、アフリカで最も直接投資が流入していた国の一つがナイジェリアでした。2013年当時で人口が約1.7億人とアフリカ諸国の中では多く、経済成長率も対前年約6%。市場は活況を呈していました。
そのとき、ふと思ったのです。バングラデシュの人口は(2013年時点で)約1.6億人だけれど、外資系企業の進出は遅れている。この段階で進出すれば、ビジネスを展開しやすいではないかと。
バングラデシュは人口密度が世界一といわれています。経済成長率は世界第3位で、医療の市場規模は年率10%の成長を見せています。一方で、医療機関や保険制度は不足しています。ITを使った医療サービスを提供し、市場を開拓する意義は大きいと考えました。今はバングラデシュで実績を積むことにより、他国にも横展開できると考えています。
──精力的に活動を続けていますが、パッションの源泉は何ですか。
「自分を待ってくれている人がいるはず」。13歳のときに家出同然で日本を離れ、海外に渡ったときの思いが原点です。
親戚を含めて家族全員が医者という、特殊な家庭環境で育ちました。生まれながらにして「将来は医者になる」と決まっていて、意思を持つことは許されませんでした。「なぜ、人生を自分の意思で決めてはいけないのか」。置かれた環境下で生きることが苦しく、小学校の頃から不眠症に悩まされました。
中学生のときに親と決別し、祖父母のお金でイギリスに渡りました。その後、ニュージーランドの高校に進学。夏休みにバックパックを背負って2カ月半、東南アジアをはじめ様々な国を回ったのが、途上国に関心を持つようになったきっかけです。同年代の子どもたちがゴミ拾いをして生計を立てている姿を見聞きし、途上国の人たちの役に立ちたいと強烈に思うようになりました。
人が生きていくのに最低限必要なのは、食と医療と教育。なかでも食の問題解決が先だと思い、東京大学大学院農学生命科学研究科で途上国支援に取り組みました。しかし共同創業者の長谷川嵩矩氏(現miup共同研究者)が医療AIやバイオインフォマティクスの研究者だったこともあり、それまで蓋をしていた医療の世界に足を踏み入れることになったのです。
日本を離れた当時の気持ちは、起業後もよく思い出します。自分を必要としてくれる場所を見つけた今は、あの頃描いた未来像を追っているという感覚です。ちなみに現在は親と和解し、実家に戻ると医療業界の今後について議論したりしています。ルーツは無視できないものです。
──酒匂さんが描く、わくわくする未来は?
世界中の人たちが、才能を活かしながら自己実現できる社会になればと思います。インターネットの普及により、教育や医療を安価で受けられる時代になってきました。マズローのいう生理的欲求や安全の欲求を満たしたうえで、皆が本来持っている才能をぶつけ合える社会のほうが楽しい。ITを使った医療サービスを通じて、その一翼を担っていければと思います。
さこう・まり◎高校時代から貧困問題に関心を抱き、東京大学大学院で途上国開発研究を行う。IT企業でインターンシップを経験したのがきっかけで起業を決意。外資系消費材メーカーで商品開発・マーケティングに携わったのち、2015年にmiupを設立。バングラデシュでITを使った医療関連事業を手がける。社員数は35人。2018年11月にBeyond Next Venturesから約1億円の資金調達を発表。第二回日経ソーシャルビジネスコンテスト大賞受賞。
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国内初の高血圧オンライン診療サービス提供開始 テレメディーズ ミクスオンライン 2019/05/17
オンライン診療支援事業を提供する一般社団法人テレメディーズ(東京都千代田区)は5月15日、国内初の高血圧オンライン診療支援サービス「テレメディーズBP」の提供を開始した。サービスは、オムロンヘルスケアなどと業務提携して提供。初診時以外に来院は不要で、高血圧専門医によるアドバイスを受けることができる。保険適用外で、月額4600円(税抜)からの定額制だ。薬が自宅に届き、服薬指導もオンラインで行う。谷田部淳一代表理事(東京女子医科大学高血圧・内分泌内科講師)は、「高血圧治療のプラットフォーマーを目指したい」と意気込む。
テレメディーズBPは、高血圧治療を自宅で無理なく続けるために必要な支援を行うもの。アプリを通じ、日ごろの血圧管理や、診療、薬の受け取り、医療費の支払いまでを一貫したオンラインサービスで実現する。血圧管理には、オムロンが提供する通信機能付きの血圧計を使い、診察にはビデオ通話を用いる。薬も郵送で届くことから、自宅や職場でサービスを受けることができる。
高血圧は、脳卒中、心筋梗塞や心不全などの長期合併症につながる可能性がありながら、長期間にわたる定期的な血圧のモニタリングが必要で、継続通院のハードルが高いとされる。患者のなかには、治療を中断し、症状が悪化してしまうケースも多い。このため同法人では、40〜50代の働く世代や、子育て中の女性など、継続した通院が困難になりやすい人をターゲットに、サービスを展開したい考えだ。
高血圧患者97人が参加した臨床試験では、試験期間を通じた血圧の平均がオンライン診療群は129/86mmHgとなった一方、対面診療群では133/90mmHgとなり、「統計的に有意だった」としている。谷田部代表理事は、「継続性の違いなどが背景にある。副作用が出た人もおらず、安全性も高い」と強調した。
同法人では、同サービスについて、保険適用は目指さないとしている。数年後には糖尿病など他の生活習慣病へのサービス拡大も視野に入れるが、まずは高血圧に特化したサービスで提供拡大を目指す考え。
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オムロン ヘルスケア他、オンラインで患者と医師をつなぐ高血圧治療支援サービス提供 MarkeZine編集部2019/05/16
オムロン ヘルスケアと一般社団法人テレメディーズおよびポートの3社は、高血圧治療におけるオンライン診療支援サービスで業務提携を開始する。これをうけ、テレメディーズはオンラインを活用した高血圧診療支援サービス「テレメディーズ BP」の提供を開始する。
ユーザーは自宅にいながらスマホやパソコンを通じて、オンラインで医師による高血圧治療および予約等を受けることが可能になる。
ユーザーがIoT機能付き血圧計を使用して家庭で血圧を測定すると、測定データはポートが提供するオンライン診療プラットフォーム「ポートメディカル」と
テレメディーズが提供するオンライン高血圧診療パッケージ「テレメディーズ BP」を介して医療機関と共有され、高血圧治療に活用される。
ユーザーは、いつでも自分の治療状況や治療方針などを確認できる。また、テレメディーズ代表理事である谷田部淳一医師をはじめとする高血圧専門医の指導・
監督のもと、最新の高血圧治療ガイドラインとオンライン診療の実施指針に基づいたアドバイス等の支援を受けることができる。ユーザーは月4,600円から
の月額課金制で、下記のサービスを受けることができる。
家庭血圧のテレモニタリング
高血圧専門医や高血圧・循環器病療養指導士によるステイタスレポート
高血圧に関するオンライン診療(提携医療機関が実施)
降圧薬の処方(提携医療機関が実施)
健康に関するオンライン相談
2017年の国内における高血圧有病者数は約4300万人おり、そのうち治療中かつ血圧が適正にコントロールされているのは約1200万人(約27%)といわれている。
高血圧治療においては長期にわたる定期的な血圧のモニタリングや治療の継続性が重要とされているにもかかわらず、通院のハードルの高さから治療の中断に至って症状が悪化し、重大疾患に陥るケースが多く発生している。
オムロン ヘルスケアら3社は、スマホ等の身近なデバイスを活用したオンライン診療による高血圧治療法が確立することで、患者の治療継続率を大幅に高めることができ、高血圧の放置や不十分な治療によって引き起こされる重大な疾患の予防につながると考えている。
サービスの座組としては、オムロン
ヘルスケアが通信機能付き血圧計および測定データ連携システムを提供し、テレメディーズがサービスデザイン、実施、ユーザーとのコミュニケーション、オン
ライン診療を実施する医療機関の開拓と連携を担当。ポートはサービス開発及びマーケティング全般を担当。オンライン診療プラットフォーム「ポートメディカ
ル」のシステムの提供や、生活習慣病に特化したメディア「オンラインクリニック」を活用したユーザー獲得を行う。
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