藪医者に徹する度胸

下記は私が出演したテレビ番組を見た高校の 同級生(都内在住)から、彼の奥さんが手掌の痛みについて、某大学病院神経内科を含めて「わからない」と言われたので、メールか電話で相談に乗っ てもらえないだろうかとのメールへの返事

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●●様
私は2003年に厚労省に入職して以来、一般の方々の診療は一切行っていません。去年までは放送の際にその旨を流していたのですが、今年は刑務所 の中での診療風景だったので、局の方もさすがにいいだろうと思ったのでしょう。しかし、診療をしていないことには変わりありません。それを知らず に今年も鑑別所に連絡してくる方がいらっしゃったのですが、全てお断りしています。

あの番組の趣旨は、如何に今時の若者が素晴らしい活躍をしているか、そして彼らが私のような初老の男を見捨てずに、様々なことを教えてくれるか を、視聴者のみなさんにわかってもらうことです。決して私が名医面(づら)するために作ったものではありません。

「子が親に教えずして誰が親を育てるのか」、「学生が教授に教えずして誰が教授を育てるのか」、「研修医が指導医を鍛えずして、誰が指導医を育て るのか」

私は収録の中で実際にそう言いました。その言葉こそ盛り込めませんでしたが、そのことをわかっていただけるように、私を含めてスタッフ一同番組を 作成したつもりになっていました。しかしまだまだ工夫が足りないようです。
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少年鑑別所の校医さんなんかより、実際に診ている某大学神経内科のお医者様の方が、よくわかっているに決まっている。そんな当たり前のこともわか らずに、「名医でござい。診て進ぜよう」 なあんてのこのこ相談に乗るから、「わからない」と言えなくなり、苦し紛れの診断を告げて誤診すること になる。

一旦相談に乗ったからには、宮城県警・仙台地検並の厳しい取り調べ口調で「正しい診断名を吐け」と詰問され続ける。それに対して「わからない」で 「しらを切り通せる自信」がないのなら、何の頼りにもならない藪医者に徹することが、自分と依頼主の両方を守ることになる。

参考
メー ルでの医療相談は一切お断り
“名 医呼ばわり”への抵抗感

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