医者がたるんでいると言うバカ

リスク管理は目に見える形で利益を生まない.だから,節約・手抜きで事故が起こる.良質のリスク管理をしようとすればするほど,金がかかる.リスク管理にかかる手間隙も人件費として金の問題に還元できる.だから,良質のサービスを提供しようとすると,サービスの価格にリスク管理の費用を上乗せしなければならない.安全はただではない.

サービスの受容者は,滑稽なことに,この陳腐な警告の意味を,しばしば理解できない.いい例が医療サービスである.

医療事故がどんどん報道される.医者が,看護婦が,病院経営者が,“たるんでいる”と言われる.世を挙げての医療費削減で,リスク管理のコストを削ったために,事故が頻発しているのではないか?医療事故を減らすためには,それなりの投資をしなければならないのではないか?それは誰が負担すべきなのか?そういう,ごく単純な疑問さえ抱かない人間は,自分で自分の命の値段を値切っていることになる.これを馬鹿と呼ばずして何と言おう.

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