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大動脈解離の剖検標本.左室を輪切りにしたところ.解離は大動脈弁上1cmほどのところに,刃物で切ったような裂け目として明らかである.瘤は形成していない.

普通は大動脈壁と左室はほぼ接しているが,解離からの出血が大動脈壁と左室の間を押し広げるように巨大な血腫となっており,その一部は心筋内に穿破している.massiveな心タンポナーデだったので,血腫はこれだけではなく,図の下側の左室外壁も全て覆っていたが,突然死で,凝血することもなく,血液の多くは剖検時に流れ出てしまった.したがって,図の下側の左室外壁を覆っていた血腫はこの標本中には見られない.朱色の線は左室壁表面を示す.ここも(心外膜と左室壁表面に入り込んだ)血液に覆われていたわけである.