恩返しと落とし前
「私は対立候補よりも清く正しく美しい人間です」。街頭でそう怒鳴り立てる勇気は私にはとても無いので、私は政治家には決してなれない。中学時代にそれはすでにわかっていた。松田公太さんの場合はそうでなかったようだ。その松田さんも参議院議員を一期6年で娑婆へ戻る。→静かに政界を去るタリーズ創業者・松田公太氏。松田さんにとって、この6年間は決して無駄ではなかったようだ。
こういう世界がある。そしてその世界の住人達が世の中に大きな影響力を持っている現実を知ったからだ。ならばそういう現実に対して、政治家ではない自分に何ができるかを考えられるようになったからだ。だからこそ、政治家を辞めたのだろう。裏を返せば、もし松田さんが参議院議員になっていなかったら、決してそうは考えられなかったに違いない。政治の現実を理解せずして政治を変えられるわけがないのだから。政治家になって、政治家を辞めて、初めて政界に恩返しができるというものだ。
政治家にはなれない&政界には全く興味が無い私も、政界以外の世界に対する好奇心だけは人一倍強かった。厚生労働省、大学医学部、そして塀の中。すべてが好奇心で入った。そして本当に面白かった。だからいずれの組織に対しても、薬事行政、医学教育、そして矯正医療といった適切な方向で恩返しができているが、義理堅い私はそれだけでは満足していない。特に私をやぶ医者呼ばわりするような、無学な検察官の医学教育という一大事業を決して忘れてはいない。よーく覚えてやがれ。この落とし前は必ずつけやるからな。
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