死因で人を差別する国
ハンセン病だろうと胆管癌だろうと、COVID-19よりもはるかに死亡率の高いインフルエンザだろうと、家で看取ることができる。なのにCOVID-19だけは家で看取れない。これを差別と言わずして何と言おうか。
志村けん実兄・知之さんは遺体と面会できず…新型コロナ感染予防のため31日に火葬後、実家に遺骨が届き‘’対面‘’「盛大に送ってあげたかったのに…」(東京中日スポーツ 2020年3月30日 )
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「最期は家」コロナで増 病院面会制限、立ち会えず 毎日新聞 2020年9月30日
新型コロナウイルスの影響で、自宅での看取(みと)りを検討する人が増えている。感染拡大防止のため病院や介護施設などで面会制限が広がり、最期の時間に立ち会えないケースが多くなっているためだ。いつかは来る「その時」をどう迎えるか。予期せぬ感染症が、死生観を見つめ直すきっかけにもなっている。
「母にとって、私たちにとっても自宅で看取ったことはよかったと思う」
今年6月、89歳の母を看取った愛知県内の女性(68)は穏やかな声で振り返った。
踏み切った理由は新型コロナだった。5月中旬、母の胆管がんが判明。長くもたないことが医師から告げられ、延命治療はしないことを選択した。緩和ケア病棟に入るよう勧められたが、感染拡大防止のため面会には厳しい制限がある。「誰も会えないような状態が続くのは、人の最期として寂しい話だと思った」。女性は自営業の仕事量を極力減らし、訪問医療や介護などを活用しながら自宅での看取りを選んだ。自宅で一緒に家族の死に立ち会い、臨終時の作法を伝える民間団体「日本看取り士会」(本部・岡山)のサポートも受けた。
家での母は寝ていることが多く、食事も重湯をとる程度。痛みを感じることもほとんどなかったが、体をさすってあげると気持ちよさそうにしていた。
亡くなったのは6月中旬の昼すぎ。「私とめいが体をさすっている中で、静かに逝きました」。女性はぬくもりの残る体を抱きしめたという。「それまで私は仕事で母一人を放置しているような日々だったので、最期くらいはと集中して一緒に過ごした。その時間は幸せだったし、母にもその思いは伝わっていたと思う。お互いにいい時間だったのでは」。女性はそう感じている。
日本看取り士会の柴田久美子会長によると、同会への相談は昨年の約4倍に増えている。大半が「コロナでの面会制限で看取りを考えるようになった」との理由という。柴田会長は「自宅で生まれて自宅で亡くなるのは自然なことで難しいことではない。コロナを契機に『尊厳ある最期』の在り方を考える動きが広がりつつあるのでは」と語る。
厚生労働省の2017年の意識調査では「最期を迎えたい場所」として回答者の7割が自宅を希望した。しかし、現実は8割が病院や施設で亡くなり、自宅は1割ほどにとどまる。国は高齢者が最期まで住み慣れた家や施設で過ごせるようにする「地域包括ケアシステム」の整備を目指しているが、その担い手となるホームヘルパーらの人員不足は深刻な課題となっている。
日本在宅医療連合学会の石垣泰則・代表理事副会長は「どこで最期を迎えるのがいいのかは人それぞれ。コロナではリモートワークが広まったが、テクノロジーの活用を進めながら、国は看取りをしやすい環境作りを進めてほしい」と訴える。その上で「普段から自分の人生を振り返りつつ、家族とどんな『最期の時間』を過ごしたいのか、話し合っておくことが大事だ」と話す。
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→介護・高齢者施設とCOVID-19患者に対する差別
→コロナのデマに飽きた人へ