日本では，開業医の先生方がレセプト（診療報酬明細）審査の主力となっている．第一線の臨床医がレセプト審査をするって，医者の自治，自己責任，peer review，まあ，言葉は何でもいいんだが，素晴らしいことだ．

だってそうじゃないか．公開された規則に基づいて，実際の診療内容について，臨床の現場にいる医者同士がお互いに批判しあうということだ．こんなすごい仕組みを持っているのは日本だけだろう．世界に誇るこの仕組みのゆえに，日本の医療費のコストパフォーマンスが世界中で群を抜いている（国民１人あたりの医療費が安い割には世界一の長寿国）のではないかと私は思っている．

他の国では（医者に任せておいたら，仲間内でデタラメをやるのではないかという疑念故に）医者の免許を持っていない査定専門の事務官か，医師の免許を持っているとしても，査定ばかりやっている専門職にやらせるだろう．外部機関の審査とか言えば聞こえはいいけど，現場の人間としては，現場を知らない人間が何を言うかってことになる．

それが極端な形になったのがアメリカで悪名高いマネージドケアだろう．カネカネカネっていう頭しかない人たちに医療が牛耳られているって思うから，医者が面白くないんだ．

日本でのレセプト審査って，まるきり奉仕活動でだ．誇りがないとできない．レセプト審査に携わっている先生方は，どのような誇りを持って審査をやっていらっしゃるのだろうか．