(この文章は97年5月4日に書いたものです.6月25日に厚生省は診療報酬明細書(通称レセプト)を公開することをやっと認めました)
大阪府は5月1日,個人情報保護条例に基づき,病名や治療,検査内容を記載した診療報酬明細書を寝屋川市の主婦に全面開示した.市町村管理の国民健康保険の診療報酬明細書は,京都市など四市が開示しているが,都道府県が管轄する政府管掌健康保険での開示は全国で初めてだという.
漢字の数がやたらと多くて,上の記事が何を意味しているのかわからない人も多いだろう.要するに,医者に払った勘定の内容が,金を支払った本人にようやく知らされるようになったということだ.
飯屋に入ると献立と値段があって,自分の好みと財布の加減にあわせて自由に選択し,金を払ったあとには食べた物と値段を書いた領収書をくれる.しかし,医者にかかると,どんな検査や薬がいくらかかるのか事前に知らされず,有無を言わさず検査と薬が課せられ,金を払った後も,総額を示した領収書が渡されるだけという,誠に人を馬鹿にした勘定がまかり通っている.大切な命のやりとりに必要な勘定の中身が,飯屋の勘定の中身より不明朗とは一体どういうことだ.つらい病気を治すためと思い,大切な金を費やしたのに,何に払ったのかわからないで,よくもあなたは黙っていられるもんだ.
前例がないという役人の馬鹿の一つ覚えは相手にしなくてよろしい.個人のプライバシー云々という理屈も全くお門違いだ.本人が知るべき情報を知らせないことこそプライバシー侵害である.自分の(自分のだけだ.他人のものを要求するのは犯罪行為だ)診療報酬明細書の公開をどんどん要求したらよろしい.その時に医者がどういう態度をとるかが,医者の質の見極めの目安の一つになる.真っ当な勘定書一つ出せない医者にはかからない方が賢明だ.歯医者も同じこと.自費診療でかかっていれば,なおのこと診療報酬明細書は出させるべきである.
→診療報酬明細書(レセプト)公開後に何をすべきか