「公務員」の意味が違う
-自由と平和を金で買う国-
太平洋の向こう側とこちら側では,「公務員」の意味が全く違うことがよくわかる,そしてなぜ米国では国民皆保険制度が生まれないのか?さらには何百年経っても銃が規制できないのかがよくわかる記事である.自分の人生の自由度と公権力をどう折り合いをつけるかは,日本や米国以外の国でも重要な問題だが,特に自由の女神のお膝元では,自分の人生の自由度を,「健康」や「安全」よりも,「金」という観点に最も重きを置いて考える文化が圧倒的に優勢なのだろう.銃規制ができないのも,自分の安全を守るためには,平和な環境(生活地域)を確保するに足る収入と地位が必要だから,言い換えれば,金さえあれば銃規制など不要,貧乏人どもが勝手に殺し合いをするがいい,というわけだ.Pax Americanaが貨幣経済を基盤とした株式や金融で維持されてきたのも,その文化ゆえである.
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【アメリカ】医療従事者リストラの危機 戦後最悪不況で歳出抑制 米自治体が財政難 共同通信 2020年7月6日
米国の自治体で職員のリストラが深刻化するとの懸念が広がっている。新型コロナウイルス感染症の緊急支援策と歳入減のダブルパンチで財政難に陥り、歳出を抑制する必要に迫られているからだ。2008年のリーマン・ショック時は消防士までもが人員削減の憂き目に。戦後最悪の不況に直面する今回は、コロナ対応に奔走した医療従事者も標的になっている。
▽足かせ
「州政府や地元自治体は最大の雇用主だ」。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月半ばの議会証言で、自治体の解雇が「金融危機時のように経済回復の足かせになる」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)によると、17年の雇用者全体に占める公務員の比率は非営利団体を含め米国が15・15%。日本の5・89%よりもかなり高い。多くの州は歳入が減ると歳出削減で予算を均衡させることが義務付けられており、公務員のレイオフ(一時帰休)も珍しくない。
▽悲鳴
自治体はコロナ対策の出費が増える一方、景気後退や原油安などで税収が急激に細り悲鳴を上げる。西部カリフォルニア州のニューソム知事は5月、財政難で「医療従事者や警察官、消防士らが最初のレイオフの対象になってしまう」と、連邦政府に支援を促した。
米メディアによると、既に中西部オハイオ州や西部ネバダ州は採用を凍結した。カジノ税急減が直撃するデトロイト市は職員の勤務時間短縮やパート職員らの一時帰休を計画。米議員は「既に150万人がレイオフされており、このままでは金融危機時と同じになる」と警鐘を鳴らす。
▽通知
ヒーローが予算削減の餌食に―。リーマン・ショック時、消防士にレイオフを象徴するピンク色の通知が配られるとメディアはこう報じた。消火活動を近隣地域に頼らざるを得ない地区も出た。
オバマ政権下では教員らの解雇を回避するため総額260億ドル(約2兆7900億円)規模の州政府への財政支援法が成立。米経済政策研究所は今回「公務員を含めた雇用全体を守るには21年末までに1兆ドル規模の自治体支援が必要」と分析している。
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