大曲貴夫先生へのインタビュー

“瀬戸際”にある東京の医療の危機 - 大曲貴夫・国立国際医療研究センター・国際感染症センター長に聞く◆Vol.1 感染症指定以外の「私たちは診ません」という姿勢、転換必須
(抜粋)

 言うと怒られますが、あえて言うと、COVID-19を診ようとしない医療機関があります。「全て、感染症指定医療機関だけで診てくれ」と言っている。

――都内には、特定感染症指定の国立国際医療研究センターのほか、第1種は都立駒込、墨東病院。(東京都保健医療公社の)荏原病院があります。

 それと自衛隊中央病院。さらに第2種のうち、感染症病床を持っている病院が幾つかあります。これらのベッド数を合計すると118床。しかし、それよりはるかに多くのCOVID-19の患者さんを既に診ているわけです。ここまで来ても、「私たちは、診ません」という態度なのです。

――都内の接触者・帰国者外来は77カ所です。陽性が判明した場合には、感染症指定医療機関に紹介してくる。

 入院は感染症指定医療機関が受け入れていますが、どんな外来をやっているかは、情報公開されていないので、実態があまり見えないですね。

――接触者・帰国者外来は一般には公開されていない。

 うちは、明らかですけどね(笑)。

――COVID-19の「発熱相談外来」を、一般外来とは別棟に設けているからですね。

 今日1日で約50人来ました。でも患者さんが路頭に迷うのが一番困りますし、国立国際医療研究センターが受けるのは当然。でも、全部、感染症指定医療機関に押し付けようとしている医療機関もあるのです。

――昨日(3月30日)の会見では、入院中の患者さんが394人。都では500床をCOVID-19用に確保しているとのことです(『「接待を伴う飲食店」への出入り自粛要請、小池都知事』を参照)。流行のピークに備え、最大で4000床まで増やすとのことですが、可能なのでしょうか。

 一般の医療機関も対応すれば、増やせると思います。

――病床稼働率を考えると、80%台のところも多いので、余裕はあるはず。また、「院内感染が怖いから」と言っても、COVID-19の疑いのある患者さんを忌避することで、病院を守ろうとしても、職員が持ち込むケースもあり得ると思います。

 一方で、どう考えても、ベッドが足りない。今後、増えるであろう患者さんを支えるためには、皆でやるしかないのです。でもそれでもやろうとしない。「順番の最後になろう」とする。少し嫌な言い方ですが、ご自身の家族がCOVID-19になり、自分の病院に連れて行っても、「診ません」となり、感染症指定医療機関でも「ベッドないです」と言われたら、どうするのでしょうか。

コロナのデマに飽きた人へ