奈落の底へ
(22/4/6)
皇国の存亡、国運の浮沈といったことを戦前日本の政府や陸海軍の指導者たちは、しばしば口にした。なれど、心の奥底では、大日本帝国が滅びるなどあり得ないと根拠のない自信を抱き、ゆえに、国益よりも自らの属する組織の利益、甚だしい場合には、おのが功名心を優先したのではないだろうか―。
軽率で単純な断定といわれるかもしれない。あるいは邪推とそしられるやもしれぬ。けれども、現代の日本人も根拠のない信仰を抱いていたのではなかったか。
バブルのころには、日本経済の繁栄は永遠に続く、地価は右肩上がりのままだといった、あり得ない言説が、真顔で唱えられていた。それほどの誤謬でなくても、親方日の丸意識のもとに税金を浪費する役人は、あとを絶たない。日本の国家財政が破綻し、彼らを養えなくなる事態が来ないという保証など、ありはしないのに。
彼ら、自分の足下を掘りくずしながら、将来は安泰と信じて止まぬ官僚達と、大日本帝国は不滅と信じ、亡国の戦争に突入した戦前の指導者たちと、どこに変わりがあるだろう。
これは主役のいない物語である。
長期的な見通しも、確固たる戦略もない脇役が、つぎからつぎへと立ち現れ、ただ状況に翻弄されるなか、利己的に動き回り、筋を進めていく。彼らの行く先が、舞台中央に、ぽっかりと開いた奈落の底であるとも知らずに。 (「根拠なき確信」と「無責任」の果てに )
2022/4/6
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