二条河原命名の由来

時に,なぜ二条河原なのかと尋ねる人がいる.もちろん,二条河原の落書を意識してのことではあるが,自分の落書がかの名作のように後世まで人口に膾炙すると期待するほど,私は不遜な人間ではない.

古来より,日本で,河原というのは様々な催し物,集まりが行なわれる公共の空間であった.戦,斬首,磔,物乞いと,催し物も豊富だった.家が立ち並ぶ息苦しさから開放されて,視界が開け,水面に親しむ広場だった.それはまた,天下一の権勢を誇った者でも首を晒す運命となる広場でもあった.

勝者,敗者,善男善女,アウトローが分け隔てなく集まれる公共の空間,いや,むしろ私のような異端者こそが大きな顔をできる(たとえそれが胴体から遠く離れたとしても)数少ない場所という意味で,河原なのである.

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