私の時代から,そして今でも,小学校では,”今週の目標”なるものが設定される.その内容も,”礼儀正しくしよう”,”廊下を走らない”,”掃除をしっかりしよう”,あたりが御三家であることも私の時代と変わりがないようだ.この”今週の目標”設定は,一部の良心的な児童に精神的ストレスを与えるだけで,具体的な成果(アウトカムoutcome)など何一つないことも,私の時代と変わりがない.かくして,”今週の目標”設定のアウトカム評価は決して行われることなく,小学校制度が存続する限り継続されるだろう.
では,病院機能評価やISO(International Organizationfor Standardization:国際標準化機構)9001取得の具体的な成果は一体何だろうか?診療報酬加算対象になって,病院の収益が上がっただけだろうか?それとも事務処理量と人件費が増えて,診療報酬加算対象分が吹き飛んだだけだろうか?はたまた,業務が煩雑になった分,現場のリスクが増えて医療事故が増加しただけだろうか?あるいは,日本医療機能評価機構や病院経営コンサルタント会社の収益への貢献だろうか?
病院機能評価を取得した病院はすでに1000を越えたという.ならば,病院機能評価取得の有害作用のエビデンスが提供できるはずだが,降圧薬の独自のエビデンス一つ提供できない日本で,そのような高級なアウトカム評価ができるべくもない.かくして,トップが医師会長である組織による病院機能評価はますます隆盛を極めることとなる.
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◆ 2004.3.20 日本医療機能評価機構トップ人事
坪井栄孝氏(日本医師会長)が4月1日に理事長に就任
日本医療機能評価機構は、3月17日の理事会で、日本医師会長の坪井栄孝氏を次期
理事長に選任した。これまで日本医師会は副理事長(糸氏栄吉氏・日本医師会副会
長)と理事(坪井氏)のポストを持っていたが、今回、3月末で会長を退任する坪井
氏が4月から同機構のトップ(理事長:非常勤)に就任することになる。
同機構は、厚生労働省、日本医師会などが出資した病院機能を評価する第三者的機
関。機能評価による病院認定が主な事業だが、医療情報サービス事業や認定病院患者
安全推進事業も開始するなど、最近事業を拡大している。
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悪貨は良貨を駆逐するという.すると,駆逐する,されるの関係を見れば,良し悪しの区別がつくわけだ.病院機能評価を取得した病院と取得しない病院の数の関係は今後どうなっていくのだろうか?
追伸:その後,私の発言を気にしたわけではないのだろうが,日本医療機能評価機構がアウトカム評価を意識するようになった.そうなると,当然,自分自身のアウトカム評価もしなければならないから苦しいところだ.
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2005年01月07日(金) ケアネット医療ニュース 情報提供:(株)じほう
アウトカム情報の開示を支援 日本医療機能評価機構・坪井栄孝理事長
評価事業は質重視の第三世代に
日本医療機能評価機構の坪井栄孝理事長(写真)はこのほど、本紙のインタビューに応じ、病院機能評価事業や法人運営の今後について所感を述べた。治療成績などを基にしたアウトカム評価については、「国民に向かって発信する外向きの手法としては効果的」と述べ、病院が自主的に情報提供をする環境整備を側面から支援する意向を示した。一方で、組織体制の見直しに着手していることを明らかにし、「今まさに生みの苦しみを味わっている」などとして、組織強化を緊急の課題に位置づけた。
坪井理事長は、同機構の本体事業である病院機能評価の在り方について、「現行のストラクチャー(構造)とケアプロセスを基盤に置くべき」との考えを表明。「病院経営者は何をしたら国民が幸せになるのかということを、まず考えなければならない」と指摘し、病院機能評価はそうした取り組みの延長上にあることを強調した。
坪井理事長はまた、ストラクチャーやケアプロセスによる評価について、「それは(病院関係者間の)内向きの話」と指摘。そのうえでアウトカムによる評価の在り方にも触れて、病院が患者の満足することを感知する手法としてみた場合に、アウトカムは関心が高い情報であることは間違いないとの見方を示した。
同評価機構のアウトカム評価へのスタンスについては、「病院がみずからアウトカム情報を開示する取り組みを促すよう支援をするのが適当ではないか」とし、医療安全支援センター総合支援事業や医療情報サービス事業といった同評価機構の附帯的な事業と同等に位置付けるのは、「少し違うような気がする」と語った。
一方、同機構の現状をめぐり坪井理事長は、病院機能評価事業の普及に努めた創設期と、受審病院が急拡大した第二世代を経て、質的な拡大という要素が加わった第三世代に入ったとの認識を示した。
ただ、坪井理事長は組織が成長する過程で、「結果的に各パートが縦割りになり、横のつながりが整理できない部分が残ってしまった」との問題意識も提示。各事業の総合化と責任体制の明確化、事業の採算性確保などを課題と位置付け、それらを見直す作業を「生みの苦しみ」と表現した。検討状況については公表できる段階ではないとしたものの、「前向きに見直しを行えば、素晴らしい飛躍があるだろう」と述べて意欲を示した。
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