あるメーリングリストで,診察時間を短くすることについてやりとりがあり,その中で,短くするのは,誰のためかという問いかけをした.
> 誰にとって短いのか?どきっとしました。答えは明確です。医者にとって、です。
でも、そのお医者さんが、「短くしたい」と思うのは、その患者さんを終えたらすぐに遊びにに出かけようと考えているからではなくて、次に控えている患者さん達のことを考えてですから、此処で言う「医者」とは、「遊びに出かけようと考えている」医者ではなくて、「患者のことを考えている」医者です。
医師のプロフェッショナリズムを考える時に、卒業年次、経歴、診療科、専門医資格といった、ハードな属性はいつも考慮しますが、同じお医者さんでも、その人がどういう状況にあって何を考えているかという、ソフトな属性は、考慮されずに議論する場合が多い。でも、このソフトな属性を考慮して初めて見えてくるものがあります。
昨日、前医が処方したスルピリドの錐体外路系副作用で具合の悪くなった患者さんとその家族が私の外来にいらっしゃいました。そこでの説明で、一言。「でも、そのお医者さんも、○○さんの具合をよくしようと思ってお薬を出したわけですよね。誰も具合が悪くなればいいと思って出したりしないですよね」
当たり前の説明です。簡単な説明です。この説明なら、医師免許がなくても、誰でもできます。だからこそ、患者さんも家族もその説明に納得し、救われるのです。でも、私はそんな簡単なことが長い間できなかった。医師免許がなければできないことだけをやるのが医者だと思っていたからでしょうか。