先生,こんにちは.メディコリサーチ事務局担当の池田と申します.いきなりのお手紙で驚かれているかもしれませんが,先生のお名前と所属は,先に成立した改正情報公開法によって公開された内科学会の認定内科専門医リストで知りました.
さて,当社の複数のお客様が先生への受診希望を出されていますが,受診される前に先生の診療技術とこれまでの実績を知りたいとおっしゃっています.つきましては,次の資料と回答をお寄せ下さい.
1.先生の最近お書きになった退院時要約を10名分.もちろん,性別と年齢以外の個人情報を消去したものですが,それ以外は退院時要約として実際に診療録に綴じ込んであるものと同一でなくてはなりません.加筆改訂したものは一切認めませんし,公文書偽造にもなりますのでご注意ください.
2.過去の剖検の病理報告を5例.これも退院時要約と同様,性別と年齢以外の個人情報を消去したものですが,加筆訂正は不可です.
3.添付ファイルの3症例につき,診断を下し,治療方針を立てて下さい.必ずしも正解のある問題とは限りません.
以上の資料,回答,それに先生のお書きになった臨床論文の内容(インパクトファクターは関係なく,患者を食い物にしていないかどうかがチェックされます)を評価し,その結果と,貴院で診療を受けております匿名モニター患者の評判とを合わせて,当社のお客様に情報提供し,受診の参考にしていただきます.
上記の資料送付,回答はもちろん強制的なものではありません.お気に召さなければ,このメールは即廃棄していただいても結構です.ただし,その場合には,お客様は先生の素晴らしい診療に巡り会うことはできませんし,先生も,優れた臨床医を求める真摯なお客様から正当な評価を受けるチャンスを逃すことになります.
埋蔵金探しのような行き当たりばったりのアプローチでは,優れた臨床医に巡り会うことはできません.当社は,医師個人の診療を評価する第三者機関として100万人のお客様から信頼をいただいております.周到なインフォームドコンセントさえあれば,治験にも進んで参加する自立性の高い方々ばかりです.また,名前は具体的に申し上げられませんが,地域のいくつかの会社組織とも団体契約しておりまして,先生の診療が高く評価されれば,そちらのお客様も先生の診療をご希望なさることも十分考えられます.
私どもは,サービスの受容と供給のミスマッチを正し,病める人が最短距離で最適の医師に巡り会えるような調整役を自負しております.失礼ながら,先生のように,転職先もなく,赤字の独立行政法人(元国立療養所)で塩漬けのまま,稼ぎ高が少ないといつも事務サイドからなじられ,出来高払い分の給料がどんどん減っていく(部門別の貴院の経営状態と,給与体系は公開されていますので,あしからず)ような方の味方でもあります.よろしくご検討いただきますよう,切にお願い申し上げます.
とまあ,こんなメールがあなたの所に来たらどうします?5年後ぐらいにはこんな世の中になっているでしょうか?だめでしょうね.それでも,もしも万が一,この絵に描いた餅が食べられるようになったあかつきには,もちろん私は赤字の独立行政法人で,営業成績を上げろと尻をたたかれるような仕打ちはまっぴらごめんですから,医者の通信簿をつける役に回っていますよ.