リネゾリド後発品の「特許侵害」

「後発品使用促進」という錦の御旗の下,病院は迷わずゾロを仕入れ,支払基金は「虫喰い申請」を黙認する.誰も先発品メーカーの味方をしようとしない.そういう状況に業を煮やしたという筋書きでしょうか.ファイザーにとっても「たかが」8200万円ではなく,この調子でどんどんやられてはたまらないということでしょうか?

ファイザー自身がauthorized genericを出すという作戦は,authorized generic自体が先発品の優位性を否定することになるし,さらに抗菌薬領域では明治ブランドが強いであろう事を考えると,現実的ではなかったのでしょうか?ちなみに,リネゾリドの後発品を出しているのは明治と沢井で,薬価差は6000円弱です.

問題は訴訟を起こす効果ですが,売れている明治の方だけを相手取って勝てば,沢井も引っ込む?でも,病院の仕入れと医師の処方動向は変わらないから,結局は支払基金に対する牽制球?でも,医療費抑制→後発品使用促進の立場にある支払基金の行動が変わるとは思えないのですが・・・
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ザイボックス後発品は特許侵害、ファイザーが提訴  Meiji ファルマを相手取り 日刊薬業 2017/12/1
 ファイザーは29日付で、抗菌薬「ザイボックス」の後発医薬品を販売しているMeiji Seikaファルマに対し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に関する特許の専用実施権が侵害されたとして、販売部分差し止めと約8200万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に提起した。ファイザーが先発医薬品として製造販売しているザイボックスは、適応としてMRSAとバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の2菌種がある。一方、Meiji Seika ファルマの後発品はVREのみで、MRSAに関する適応は取得していない。

●「適応外処方の蓋然性を十分に認識」と指摘
 訴状によると、ファイザーは希少疾病であるVRE感染症の年間推定患者が数十人程度であるにもかかわらず、VREの適応しか持たないMeiji Seika ファルマの後発品が昨年1年間にその5倍以上に当たる数の患者(少なくとも319人)に相当する数量が販売されていることなどを問題視。Meiji Seika ファルマは適応外処方となるMRSA感染症への処方の蓋然性を十分に認識しながら製造販売しており、特許の専用実施権の侵害に当たるとしている。今回の件について、ファイザーは「係争中の案件のためコメントは差し控える」と回答。Meiji Seika ファルマは後発品の売上高について「非開示」とし、「訴状が届いていないのでお答えできない」としている。
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