トライエージ(Triage):トライエージは、金コロイド粒子免疫法に基づくイムノアッセイ法(ASCENDマルチイムノアッセイ法:
AMIA)で、化学的に標識した薬物と尿中に存在する薬物との抗体に対する競合反応を利用している。トライエージで検出できる薬物は、フェンジクリジン(PCP)、ベンゾジアゼピン類(BZO)、コカイン類(COC)、アンフェタミン類(AMP)、大麻類(THC)、オピエート類(OPI)、バルビツール酸類(BAR)、三環系抗うつ薬類(TCA)の8種である。
◎利点
1)簡便な操作で検査できる。
2)1枚のキットで8種類の薬物群が検査できる。
3)短時間で結果が判るため、救急の現場では非常に有用である。
◎欠点
1)偽陽性反応のあることを承知しておく必要がある。
2)腐敗した試料を検査する場合、25 μ g/ml 以上のフェネチルアミンが含有されていると覚せい剤陽性となるので、腐敗した試料を検査する場合は注意を要する。
3)風邪薬に配合されているフェニルプロパノールアミンを始めとするフェネチルアミン類とも交差反応をするため、覚せい剤陽性となる。
4)検出バンドの色の濃さと検査試料中の薬毒物の濃度との間には比例関係はない。
5)ブロムワレリル尿素中毒患者の尿検査でバルビツール酸類の陽性反応が出たとの報告もある。
6)他の簡易テストに比べて高価である。
7)検査試料を機器分析した場合、Triage で検出され薬物そのものが検出されない場合がある。例えば、ベンゾジアゼピン類を検査試料からGC/MS
で確認する場合、検査試料を加水分解する必要がある。
(屋敷幹雄・奈女良 昭.毒劇物中毒事件に関する研究.1998年度厚生科学研究費 厚生科学特別研究事業報告書より引用)