金の切れ目が縁の切れ目.だったら,縁よりももっと実利的な,命に対する資金不足の影響は絶大なものだろう.
医療費抑制は国民の命を値切ることに他ならないのに,そんな簡単な理屈がわからないバカな国民のおかげで,小泉某も,自動車保険屋や警備会社の親玉率いる経済財政諮問会議も,そしてわが本社,厚生労働省も,気楽な稼業ときたもんだ.
あれだけすし詰めの電車を運行させながら,鉄道会社はサービス向上と称して,料金値上げができる.病院は医療事故防止,危機管理のための費用と称して患者様からもらう料金を値上げできないばかりか,かえって診療報酬を削減されてしまう.
赤字の鉄道会社が車両整備の費用を節約して事故を起こす.医療費抑制と医療事故の関係はまさにそういうことなんだ.
医療サービスへの市場原理の導入に失敗した英国は,アメリカ合衆国のような惨状に陥る前に,国民皆保険制度を立て直すことが必要だと考えた.医療サービスへの資金投入は,国民の命を守るという大義名分ばかりでなく,十分な経済効果もあるとの見通しのもと,増税により調達した資金を医療サービスに投入することを国民に納得させた.この野心的な計画により,国民医療費の対GDP比が6.8%と,先進国中最下位(日本は7.2%で19位と目糞鼻糞の関係)だったのが,2002年には7.7%,2008年までには9.4%と,トップグループに大躍進する.