考へるヒント

ある時,ふと思い浮かんで,とてもいいアイディアだと思うのだが,その場で熟成させる時間がなく,蒸発させるのも惜しいヒントをつらつら書き込んでいく.

 聡明なあなた 代用エンドポイントとしての結婚 日露戦争,ロシア革命,そしてヴァイマールの崩壊 ネットは電子口コミに過ぎない 大学医局の研究:誰かやりませんか 受信料問題解決のヒントいつかは黒枠で一度でいいから結婚という名のリスクアンケートの科学必要度から見た結婚

聡明なあなた
聡明なあなたは自分の意見に対する反対意見の大切さを知っているに違いない。でも、反対意見の存在をどうやって把握しているのかと問われたら、きっと答えに詰まるだろう。なぜなら、聡明なあなたに対して、反対意見を正面切って言う人など存在しないこともまた、聡明なあなたは知っているからだ。

では、反対意見を把握するにはどうしたらいいか?それはあなた自身が聡明でないことを認めればよろしい。あなたが聡明であるから、誰も心配しなくなって、反対意見が出てこなくなる。あなたが聡明でないことがわかれば、反対意見はどんどん出てくる。

でも、実際、自分は聡明だから、聡明でないふりをしても簡単に見破られるだろう。聡明なあなたは、そんな心配をするに違いない。しかし、心配御無用。聡明でないあなたにしかできないやり方がある。

「わからない」「知らない」「教えてください」そう、正直に言えばよろしい。聡明なあなたなら、わからないことがわかっているはずだ。それだけ聡明なあなたにだけ、反対意見を把握することができる。

代用エンドポイントとしての結婚
 またまた結婚の話で恐縮だが,若い人と話していると,決まってこの話題が出てくるもので.幸せな気分になるのがハードエンドポイント(目的)だとしたら,結婚はあくまで代用エンドポイント(手段)である.あなたは当然のことのように思うかもしれないが,ここでもしばしば手段の目的化(ハードエンドポイントと代用エンドポイントの取り違え)による悲喜劇には事欠かない現実が一方にある.

結婚は,幸せになるための手段の一つに過ぎない.必要条件でも十分条件でもない.ましてや,決して必要十分条件ではない.結婚する以外にも,幸せな気分を味わう手段はいくらでもあるし,結婚しないと幸せになれないわけでもない.

また,手段には必ずリスクとベネフィットがある.
○そのリスクとベネフィットのバランス判断は,非常に困難である.
○なぜなら,問題が生じたとき,夫婦二人だけではなく,多くの人間の感情や利害関係を考慮しなければならないからだ.ご近所や互いの親や親戚はもちろん,子供がいれば学校,地域も考えねばならない
○このような極めて複雑な判断ができる自信があなたにあるのか?日常診療で,ワーファリンの用量調節にさえ四苦八苦しているあなたが?
○しかも,あなたが判断すれば済むわけではない.相手と合意を形成しなければならないのだ.なんてこった.

言われれば当たり前だと思うことでも,自分に当てはめて考えられないのはなぜなのだろうか?

→よかったらスライド使ってください.

日露戦争,ロシア革命,そしてヴァイマールの崩壊
失敗の本質―日本軍の組織論的研究”は,大東亜戦争における帝国陸海軍の行動を分析した古典的な名著である.文庫本で800円.病理組織学ならぬ組織の病態を勉強するには,まことに優れた教科書である.そこで度々出てくるのが,旅順攻撃と日本海海戦に代表される日露戦争の成功体験が帝国陸海軍の病根となったという主張である.

ここでは,旅順攻撃を”成功体験”と解釈する心理には興味があるが,それが実際に成功体験だったかどうかは,ここでは議論しない.私が興味を持つのは,近代日本における日露戦争の位置付けである.ドイツ文学者の池田浩士(ひろし)は,”歴史のなかの文学・芸術―参加の文化としてのファシズムを考える”で,日本人が経験した初めての国家総力戦としての日露戦争が,”国民を主人公”にしたと説明している.

彼は,国家総力戦であれ,ロシア革命であれ,あるいはアヴァン・ギャルドであれ,一般大衆が,世の動きに参加し,喜びを得ることによって,ファシズムが形成されていったとしている.

ヒトラーやムッソリーニが強制的な弾圧だけであれほどの人気を博したのではないだろうし,当時のドイツ人,イタリア人が馬鹿だったわけでもないとすれば,どこに納得できる説明があるのか?ヴァイマール共和国の崩壊がなぜ起こったのかという問いにこだわる人には,上記,池田浩士の話をお勧めする次第.

ネットは電子口コミに過ぎない
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【トヨタ bB 新型発表】テレビを見ない20代男性へのプロモーション (RBB TODAY) - 2005年12月28日より抜粋

音楽を聴くことに注力した2代目のトヨタ『bB』。「トヨタ、ミュージックプレイヤー発売」とのコピーを付けてティザーサイトを展開したのは、20代男性へのプロモーションのためだ。「正直なことを言って、トヨタって若い人は得意ではありません」とする、トヨタ自動車の中澤次郎氏(宣伝部広告室第2グループ)にお話を伺った。

モデルチェンジをするにあたり、同社では、ターゲットとする20代男性を集めて、リサーチを行った。このリサーチで「この層は、テレビをあまり見ないことが分かりました」との結果が出た。そのため、これまでのクルマと同じような、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体を利用した広告展開では、なかなか目に触れられないのだ。

では、どこから情報を得ているのだろうか。「インターネット、口コミ情報を摂取しています」と言うのだ。具体的には、テレビをかろうじて見る深夜帯に5秒間のティザーCMを流し、ウェブサイトに誘導するというものだ。「テレビは興味を持つきっかけです。『トヨタミュージックプレイヤー』って何だろうと思ってもらい、インターネットで検索してもらい、ウェブサイトで詳細な情報を知ってもらうという流れを作りました」とした。さらに、口コミも活用する「彼らがよく出没する街のスポットであるHMVや渋谷のセンター街で広告を展開します。そこで口コミを広めて行きます」とアピールする。
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20代男性,そして恐らくその友だちや恋人である20代女性に対しても,”テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体を利用した広告展開”の効果が低下しつつあることを,これらの媒体を商売にしている人は肝に銘じるべきである.(ただし,TV会社がネットに進出すれば強力な競争相手になるから,今のうちに飲み込んでしまおうという思惑がある.既存メディアのコンテンツはそれだけ脅威)

口コミは最古,最強の宣伝媒体である.トヨタは口コミとネットを区別しているようだが,口コミの有力な手段が携帯電話とメールになっていること,2チャンネルに代表されるように,実はネットは巨大な電子口コミに過ぎないことを考えると,トヨタの新型車の宣伝は,全面的に口コミに依存することになる.

大学医局の研究:誰かやりませんか
臨床研修必修化や医者不足に伴い,人材派遣業としての機能を失い,変質しつつある大学医局.これまでは、その罪ばかりが強調されてきたが、長年存在していたからには、教授が偉そうな顔をするための道具というだけではなく、何らかの機能があったはずなのだが、その機能、鋼材について,誰もまともな研究をしていない.
”白い巨塔”なんて陳腐極まりない視点ではなく,偏りのない立場から,日本独自の,”医局”という組織の正統派研究,誰かやりませんか.

受信料問題解決のヒント
ネットで第二日本テレビが始まったが,NHKもあれだけ膨大なアーカイブズを持っているのだから,ネット経由でアーカイブズをストリーミングでいいから公開すれば,高い評価を受けるだろう.実際,第一放送で放映されていたNHKアーカイブズ非常に面白かった.今でも大河ドラマで見たいものはたくさんある.今時,わざわざ埼玉県の川口市まで出かけなければ見せてやらないというんでは,視聴者も怒るよ.受信料問題とからめて,受信料を払っている人(家庭)にはアーカイブズを公開する仕組みをつくれば,受信料不払いも随分と少なくなるに違いない.汚名を返上し,受信料不払いを解消する一石二鳥の策と思うがいかがだろうか.

いつかは黒枠で
湯島に勤めるようになった高校の同級生とのやりとり.昼飯をどこで食べるかという話題から,生協今昔のになり,20年前私が医科歯科の構内をうろついていた時代から現在に至る過程を思って.
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医科歯科の生協食堂のラーメン,430円か,結構高いな.390円にすれば,もっと数が出て,収益は伸びると思うが.あの,1階のフロアで,昼飯時に生協謹製の弁当,今でも売っているかな.地下の売店には行ってみた?コンビニ程度の食品,文房具,書籍販売のほかに,プレイガイド,旅行代理店機能,PCハード&ソフト販売もやっていて,昔は随分重宝したが,今では近くにコンビニができて,プレイガイド,旅行代理店機能,PCハード&ソフト販売も,全部ネットを使えるようになったから,利用者が随分減ったと思う.

評論家風に言うと,ネットの発達で,物やサービスの発生源(直接提供者)と,消費者の直接取引の比率が無茶苦茶増えた結果,物やサービスの取次ぎ業が次々に淘汰されたね.本屋は典型的な取次ぎ業だし,プレイガイドなんて,もはや死語だ.物の場合には,取次ぎに代わったのが宅配業者.

> お休みにボランティアばっかりしていないで、自分のストレス発散をこころがけてね。

地雷原の毎日なのに,健気に医者やっている若い人たちを見ると,どうしても手伝ってやりたいと思ってね.20年前を思うと,ここまで生きてこられたのが,夢のようだ.

> 高校同期会のHPに訃報をのせるのはいやですから。
まあ,でも,いつかは黒枠で載らなくちゃならんのだから.と思ってやっていれば,もう少ししぶとく掲載を回避できるかもしれないと密かに期待している.

一度でいいから
蕎麦はいいんだ,いつもつゆをたっぷりつけて食っているから.でも,JS Bachをゆっくり聴きたい,Led Zeppelinを流しながら,晩秋の関越道をゆっくり(100kmぐらいで)走って,行き着いた先(例えば霊泉寺)でゆっくり温泉に漬かって,持ち込んだ漫画本(例えば,新田たつお,例えば,山上たつひこ,例えば,みなもと太郎,例えば,大島弓子)をたぷり読みたい,浅草で東映映画をたっぷり見たい,渋谷でヴィスコンティをたっぷり見たい,フェリーニをたっぷり見たい,NHKホールでチャイコフスキーをたっぷり聴きたい,自分の部屋でたっぷり荷風を読みたい,安吾をたっぷり読みたい・・・

とまあ,これから先も,叶わぬ夢とは知りながら,神経内科の教科書を書かなきゃいかんと思い続けなければならないか.書いてしまえばいいんだが,それが終わると,書かなくてはならないものがまた出てくる.
 

結婚という名のリスク
結婚と言う名のリスクをリスクマネジメントの観点から考えられることはほとんどない.
人との出会い.人との付き合いが,大変なリスクであり,生きている人間がどんな武器よりも怖いことを我々は知っているはずなのに,数十年にもわたって固定した付き合いを前提とした社会契約をどうしてリスクと考えられないのか.三十年ローンをリスクと考えられる人がどうして結婚をリスクと捉えられないのか?

アンケートの科学
アンケートの最後に,しばしば自由に意見を書くために空欄が設けてある.実は,その欄の前にある設問に対する選択肢の頻度よりも,この最後の自由意見の方が面白く,そして役に立つことの方が多い.デジタルな情報よりアナログな情報の方が貴重である典型例だ.かといって,いきなり,ただ自由に意見を書けといってもなかなか自分の思うことが書けない.アンケートに答えて初めて自分の意見が明確になって,最後の欄にも素直に書ける.だから,アンケートの設問は,回答者がbrain stormingしやすいように,設問の内容,順番を工夫しなければならない.

必要度から見た結婚
ところで,あなたにとって結婚は本当に必要なのか?結婚の是非を論じる時,ほとんどの場合,したい vs したくないという主観と,必要 vs 必要でないという客観がごちゃまぜになって議論されている.主観はそれぞれの個人に依存するから,ここでは論じない.では結婚を客観的に論じるにはどのような方法論を採用すればよいか?

私が提案するのは,自家用車モデルである.
車不要の生活を選択する人がいるかと思うと,車のない生活なんて考えられない人もいる.旅行の時だけレンタカーという人もいる.車を選ぶにも見た目最優先の人がいるかと思うと,実用一点張りの人もいる.いつもぴかぴかに磨き上げていないと気の済まない人もいれば,埃だらけで走っても平気な人.やたらと買い換える人もいれば,自分で部品を調達してまで修理,手入れして乗りつづける人もいる.

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