変えていくのは若い人1
(2015年2月24日の香川大学臨床推論勉強会に参加して)
素
晴らしい勉強会でしたね.みなさん,Y先生が羨ましかったでしょう.あんなふうになりたいと思うでしょう.地域で地道に診療しながら,学生さんの教育に携
わっていると,あんな素晴らしいお褒めの言葉を患者さんからもらえるのですよ.私も大学教授をやっていたので,決して大学教授をけなすわけではないけれ
ど,大学教授だと,患者さんから決してあんなふうに褒めてはもらえないんですよ.
どんな患者さんも、自分の病気という貴重な機会を生かし
て医師の教育に携わりたいと、無意識のうちにせよ思っています。だから、昨日も学生さんが主役でした.この先の医療界を背負って立つ若い人達の教育に自分
が貢献している,自分は医師を教育している。そんな充実感が患者さんの言葉に表れていました.
そんな雰囲気に感激して、私もいつになく力
んでしまって,2-3度学生さん達に,問診の中で専門用語を使わないように警告しましたが,あれも学生さん相手だからこそです.あの種の警告は,普通の講
義ではもちろん話題にもならないし,ポリクリなどでも一々指摘する人もいません.現場へ出たら,なおさら,ほったらかしです.学生で,しかもああいう場面
でしか教育を受けられないのです.おじさん,おばさんになったら、問診の中で患者さんが理解できない専門用語を使っても、「こいつ、アマチュアだな」と思
われて軽蔑されるだけで、誰も注意してくれないのですよ.
勉強会の内容も世界のトップレベルでしたが、それを誰も意識せずに平然と議論が
進んでいきましたね。あれにもびっくりしました。香川大学の学生さんて、凄いですね。私はいろいろな大学の学生さんと話をする機会がありますが、香川大学
の学生さんは、どこの学生さんにも負けません。と同時に、ああいう文化が学生の間から自然発生的に生まれること自体に、「世の中はどんどん変わっていく。
変えていくのは若い力だ」とつくづく思うのです。だって、私の世代は、2003年7月に広島で私が「大盤解説」と言っていたのが、その頃の最先端だったのですよ。その時点では、生きているうちに昨日のような勉強会を実体験できるとは思ってもいませんでした。
お
じさん、おばさんは、変わらない、変えられないと嘆くけれども、実は変わらない、変えられないのは自分達自身だけであって、若い人はどんどん変わってい
く、変えていく、そしておじさん、おばさんが、唯一変わっていく、変えていく道があるとすれば、それは若い人に教えてもらい、助けてもらって、変わってい
く、変えていく道に他ならない。勉強会の末席でそんなことを思っていました。
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