2004年は日本にとって記念すべき年になった.最後の貧困層といわれた研修医にも,最低賃金が支払われるようになって,日本から貧乏人がいなくなってしまったからだ.研修医は最後の貧乏人だったとなぜ断言できるのか?それは,以下の帰無仮説による.
もし貧乏人が,まだ残っているとしたら,その人々は,混合診療導入を推進する人々を,自分達の命を脅かす不倶戴天の敵として,その命を狙うだろうから.しかし現実には,あることないこと報道される世の中でも,そんなニュースは,”フライデー”にも”女性セブン”にも,”週刊新潮”にも載っていない.
かくして,日本からは貧乏人がいなくなった.多くの日本人は,タバコに無駄金を使って自分の命を縮めるような無知な貧乏人の病気を治すのに,自分の金が使われてはたまらないと思うようになった.公的保険なんか早くなくしてしまって,診療は全て自由診療,自分の体の責任は全て自分で持つような,米国流の正義の世の中が来てもらいたいと願うようになった.
かくして日本から貧困は追放された.合衆国大統領の尻の穴を舐めてでも,貧困のない国を実現した我国の宰相は,股くぐりの韓信顔負けの傑物である.
だから,いくら,心ある人々が,”国民皆保険の崩壊は,”貧乏人は死ね”という世界の出現を意味する”,と脅かしても,自分は生き残れる,負け組にはならないと信じている.混合診療は,ベネフィットとリスクのバランス判断が自己責任でできる,いい制度だと思っている.ましてや,日本医師会が,”国民皆保険は死守する”と言えば,多くの国民が,反対に,混合診療の方がいいのだろうと思ってしまう.
→続く