人助けという嘘八百2
中 「あるALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんを訪問診療で看取ったんじゃけど、その患者さんが、わしが行くたんびににこにこ笑顔で迎え
てくれるんじゃー。わしが患者さんのために何もでけんと、申し訳ない気持ちで行きよるのに。わしはなんでかなあとずーっと思うて、ある日、田
坂に訊いたんじゃー ほしたら、あいつ、患者さんに訊いてみいっちゅうて・・・」
池 「はあ・・・・」
中 「なんや謎かけみたいな答えじゃっただけど、田坂の言うことなら間違いやろ思うて、その次の訪問診療の時、早速訊いて見たんじゃ
池 「はあ・・・・」
中 「ほしたら、患者さん、”先生に会うのが嬉しいからだ”っちゅうて・・・・」
池 「・・・・・」
中 「あいつーっ 知っとったんじゃー」
医者が患者を助けるというのは嘘八百です。患者が医者を助けているのです。
(文中の広島弁は不正確です。改訂のご連絡をお待ちしています)
(登場人物:池田正行 田坂佳千 中西重清)
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