医者と易者の違いはどこかというと，”わからない”と言えるか言えないかである．
”そんなことがわかるぐらいなら医者なんかやらずに易者になっている” とある先輩の言葉だった．それは，己が能力の限界をわきまえている意味であり，俺がわからないのなら，他の誰にもわかるわけがないという意味でもある．
テレビで，よく，”余命3ヶ月”と引導を渡す場面があるが，人の生き死にに関して，そんな断定的なせりふを吐くような奴は，たとえ白衣を着ていても医者ではない．易者である．顧客によっては易者になってくれるようお願いされることがあり，その時はそれなりに演技もするが，あくまで自分は易者ではないことを意識しての話である．
医者は，神のみぞ知ると言い放つ．易者は神のお告げと御託を言う．この違いである．
医者は易者になれないし，なろうとしてはいけない．