本日,当院で形ばかりの火災・避難訓練がありました.
80ベッドある神経内科病棟は,1階と2階にそれぞれ40ベッドづつに分かれています が,その1階から出火したという想定でした.
2階はさぞかしてんやわんやと思って行きましたら,当番の職員だけが黄色いたすき を掛けて走り回っているだけで,ほとんどの職員は平常心でお仕事中でした.以下, こいつは何を言い出すのかと怪訝な顔とぽかんとした顔に囲まれての会話.ちなみ に,この病棟の普段の昇降は階段とエレベーターが一つずつです.
”この病棟,避難用のシューターはあるの?”
”ええ,デイルームの窓から臨時に降ろすやつと,病棟廊下の突き当たりの非常口 に,普通の非常階段とは別に,固定の滑り台式のやつ,合計2つ”
”今日は,そのシューターを展開したり,滑り台で患者さんを降ろしたりする訓練はしないの?”
”しないですね”
”そのシューターや滑り台で,この病棟の患者さんは自分で降りられるかどうか,試さなくてもいいの?”
”試さなくてもわかります.無理です.滑り台は急傾斜で幅も人一人座ってようやくで,あたしたちだっ
て,ちょっと怖いもの.ましてや神経内科の患者さんがシューターなんてとんでもない.降りられるわけがありません”
と,婦長さんは,確信を持って断言.
消防署員も立会いの,年に1回の訓練だったのですが・・・40床,ほぼ常に万床の病棟 ですぞ.
あたしゃ,こんな職場でリスクマネジメント部会長やらされてます.次の部会で私が わめいても,きっと寝たきりの患者さんを降ろす設備の予算などないと,あっさり断 られるでしょう.人の命より金の方が大事だというのは,まさにこの職場です.当院 は最高で2階ですから,職員がおんぶして降ろせとでも言うのでしょう.ならば,その 訓練をしなければならない.40人もおんぶして避難させるまでには,火は鎮火してい るか,病棟を焼き払っているかのどちらかでしょう.