先日,医学書院の,”今日の治療指針”編集部から,”本態性振戦”の項の執筆依頼が来た.執筆依頼者一覧表を見ると,偉い先生ばかりである.それなのに,私のところに依頼が来た理由はよくわからなかった.もちろん,私には本態性振戦に関して何の業績もない.おまけに,この本の副題は,”私はこうして治療している”なのだった.
私の診療には独創性のかけらもない.本態性振戦の治療は,手許にある,”クリニカル・エビデンス日本語版2002-2003”(日経BP社)に従って行なっているので,私独自の治療法があるべくもない.だから,とてもじゃないが,”私はこうして治療している”なんて書けるわけがなかった.困り果てて懇意にしていただいている,さる高名な神経内科医に執筆をお願いしたところ,快く引き受けてくださったので,助かった.持つべき者は友である.