スポーツ選手の
エンドポイント
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ランド、五輪出場できず=CASが1年間の出場停止処分−スケルトン〔五輪関連〕
2006年2月11日(土) 1時52分 時事通信
【トリノ10日時事】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は10日、育毛剤の服用でドーピング(禁止薬物使用)の疑いが持たれていたスケルトン男子の有力選
手、ザック・ランド(米国)に対し、1年間の出場停止処分を科すと発表した。これにより同選手のトリノ五輪出場は不可能となった。米国オリンピック委員会
(USOC)も処分を受け入れたことを明らかにした。
ランドは昨年のワールドカップ(W杯)の際の検査で、禁止薬物の隠ぺい剤フィナステリドが検出された。同選手は、日常的に使用している育毛剤に含まれて
いるものと反論したが、世界反ドーピング機関(WADA)が禁止薬物に指定していることから、処分が決定された。(了)
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隠蔽剤というからには,液クロか,ガスマスのピークが,ドーピング薬物と重なるんでしょうね.ドーピングのやり方も,非常に巧妙になっていて,知恵比べだ
そうです.遺伝子ドーピングは検出不可能とかいうのも本当かな?遺伝子だからこそ,その人がもとから持っているものと外来のものを区別するのは簡単なこと
だと思うのだけれど.
WADA World anti-doping agency 頑張ってますね.
McCarthy M. Profile: Richard W Pound, QC--chairman of
WADA.Lancet. 2005 Dec;366 Suppl 1:S20.
“This is not a diplomatic problem; this is cheating.”
Cheatingという性質上,ほとんどの薬剤では,ドーピングの有効性・安全性は全く検証されていません.私の知る限りでは,一番しっかりした臨床試験
でも,10年ほど前に,健康成人男性43人を4群に分けて,運動と テストステロン600mg,10週間の投与の効果を検証した研究があるだけだ,
Bhasin S, Storer TW, Berman N, Callegari C, Clevenger B, Phillips J,
Bunnell TJ, Tricker R, Shirazi A, Casaburi R. The effects of
supraphysiologic doses of testosterone on muscle size and strength in
normal men. N Engl J Med. 1996 Jul 4;335(1):1-7.
運動も,テストステロンの両者とも有効であり,上乗せ効果もあることがわかった.詳しいことを知りたい人は無料で読める原文を
どうぞ.
しかし,この検討でも,各患者群に背景の違いがあるし,単一用量だし,有効性の評価指標ベンチプレスとsquattingだけだし,もちろん長期の安全性
は全く検証できないし,臨床試験とはとても言えない代物だ.
だから,どんな薬剤が,どんな種類の競技に有効かは全くわからない.
そもそも,スポーツ選手の真のエンドポイントは何だろうか?表彰台の高さだろうか,あるいは華やかな選手生活の後の生活の質だろうか?
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