スコットランド議会設立,独自税制決まる

97年9月11日,700年前にWilliam WallceがStirling Bridgeの戦いでイングランドを破った日,国民投票が行われ,西暦2000年からスコットランド独自の議会を設立し,かつイングランドとは関係なく税率を決められることになった(*これは私の勘違いで実は違っていた.訂正は下記).

投票前の予想では,議会設立は賛成多数が予想されたが,独自税制に関しては五分五分だった.それが蓋を開けてみれば,議会設立には73パーセント,独自税制にも68パーセントの人が賛成した.圧倒的な二つのイエスだったのだ.

1979年の前回の国民投票に比べて賛成票が圧倒的に多かったのは,やはりマーガレット・サッチャーへの遺恨ゆえだろう.賛成派は彼女の名前とpoll taxという言葉を叫べばそれで事足りた.一方,反対派は,もし賛成派が勝てば,主要な産業や資本はイングランドへ逃げていってしまうだろうというようなネガティブキャンペーンしか張れなかった.

かといって,これでスコットランドの問題が解決されたわけではもちろんない.300年もの間の結びつきがあるのだから,産業や資本の逃避などは起こり得ないが,イングランドよりも貧しいという厳然たる事実は変わらないのだ.しかし,2000年以降,スコットランドがどう変わっていくか,スコットランドウォッチャーとして,大きな楽しみができた.

EUという共同体の存在はスコットランドの独立に大きな影響を与える.つまり,スコットランドや,スペインのバスク地方のように,欧州諸国の中で独自性を持つ地域は,国という枠組みを越えて,EUの中での独立,他のEUの国々や諸地域との関係の確立という視点で行動するからだ.

Devolutionについて更に詳しく知りたい方は次のサイトを参照されたい.

Scottish Politics, Nationalism and History

The Scottish Parliament Website

エジンバラ大学の島袋さん(政治学)からの指摘(2000年1月21日)
イングランドと無関係に税率を決められるようになったわけではありません。基本的に今度の議会は、課税権が認められておりません。極めて限定的な税に関する権限で、それは、国税(中央政府が課する税金)である個人所得税の一部を上下3%に限定して変更する権利ということです。一部とは、3段階に分けられた課税対象所得層のうち、中間層、23%(来年から22%に変更)にだけ適用されるものです。他の層は、中央で決めた税率をそのままスコットランドでも適用することになるわけです。新議会は、一切口出しできません。じゃあいったい新しい議会と政府の財政資金はどこからくるのか、ということが問題になると思いますが、それは、中央政府からの一括補助金という形で、国家予算の10%が用途指定のないまま、スコットランド分としてそのままスコットランド議会に降りてくることになっています。

スコットランドのホームページへ