どこかで聞いたような話
-フランスでも医師の偏在が問題に-
フランスの人口は6712万,医師数22万)だから1000人あたりの医師数は3.3人,日本は2.5人(人口1.268億人で医師数32万)で,フランスは日本よりも30%多い医師を抱えていることになる.
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フランス、地方の医師不足に住民の不満噴出 AFPBB News 2019年3月6日
【AFP=時事】仏パリ南方にある小さな町、モンタルジ(Montargis)で医師や歯科医を受診することは実に難しい──。首都から100キロ程度しか離れていないにもかかわらず、それは月の裏側に住んでいるのと変わらないほど困難を極めるという。
この町では先ごろ、地域社会の問題について話し合うタウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた。参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えると、会場から大きな拍手が沸き起こった。
タウンミーティングは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、自身の政策に対する抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応の一環と位置付けて各地で開催されているものだ。
人口約1万5000人のモンタルジや多くの町で、医師不足は大きな問題となっている。フランスでは第2次世界大戦(World War II)終結以降、ほぼ無料で医療を提供する国民健康保険制度を誇りにしてきたが、すべての患者が平等な治療を受けているわけではない。
公式統計によれば、フランスの医師の数は現在約22万人。1980年からは2倍に増えている。しかし、その多くは地方部や小さな都市よりも、大都市で働くことを好む。
例えばパリでは住民10万人当たり約798人の医師がいるが、モンタルジ地区では一般開業医が同76人と、全国でも最低水準だ。
■医療砂漠
フランスでは、全人口の8%が暮らす約9000か所の小都市で、一般開業医の数が不足している。黄色いベスト運動が大きな支持を集めるモンタルジでは、新たな患者を引き受ける一般開業医は一人もいないと住民らは話す。
地元出身の国会議員で、自身も心臓専門医であるジャンピエール・ドール(Jean-Pierre Door)氏は「誰もかつての休日なし、1日20時間労働だった医師のようにはなりたがらない」と話す。
マクロン大統領は最近、医師の増員を目指す医学部改革を発表した。だが、ドール氏によれば「医師の養成には12年かかる」
モンタルジでは、地区一帯の住民15万人に対して病院は1か所しかない。130人の医師が働いているが、救急医療は依然、人手が足りない。「15年前、この病院では年間1万5000人の患者を扱っていたが、今では6万人だ。しかも、病院での待ち時間は平均5~6時間だ」とドール氏は話す。
一般開業医が不足しているため、救急外来を受診する患者の60%以上が、耳の炎症や処方箋の更新といった一般外来で対応できる処置のために来院する。
■診断の遅れ
数か月前に開業したばかりの若手のがん専門医、フランソワ・カミュ(Francois Camus)氏は、受診後の経過観察が十分に行われていないことに驚いたと明かした。「進行がんの患者を何人か診たが…一般開業医が足りないせいで、診断が遅れてしまった人たちだ」
婦人科医も、同様に不足している。「女性患者の中には20年以上もの間、医師による経過観察が行われていなかったために、腫瘍が大きくなってから診察に訪れた人もいた」とカミュ氏は語った。
インターネット上の討論サイトでも、医師不足に関する不満が噴出している。ある女性は、「医大を卒業したばかりの若い医師は、医師を必要としている地域で4~5年経験を積むことを義務化すべきだ」とコメントした。
だがドール氏は、強制しても解決策にはならないと言う。それよりも過去2年間にわたって試験運用されてきたように、開業可能な医師らに無料で診療所となる場所を提供するよう、地元当局に奨励すべきだと同氏は主張する。フランスでは現在、カナダ・ケベック(Quebec)州やスウェーデン北部の遠隔地の例を参考に、モンタルジの町が強く要望しているインターネットを通じたオンライン診療の試験運用を行っている。
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