腕の悪い神経内科医に限って、ろくに所見をとれもしないのに,神経疾患の診療を秘事口伝とか、大工の職人芸みたいにもったいぶる。その上,治せもしない病気の画像所見の薀蓄を得意げに披露する.だから彼らは嫌われる。なのに彼らはそれがわかっていない。
”頭痛の診断にCTは役に立たない”と明言する私が,”御専門は?”という,ひどく月並みな質問を何回受けても,もごもごと口を動かすだけなのは,ひとえに,こういう馬鹿どもと一緒にされたくないからだ.
それじゃだめなんだってことは、口で言ってもわからないから、実際にやって見せなくてはいけない。相手は、一番素直で、熱心だし、鋭い、医学部学生がいいんだが、研修医でも、熱心な開業医もいい。ということで、2003年7月はプライマリケア・家庭医のメッカである広島に呼ばれて、”ハンマー要らずの神経内科”の話をしたし、2004年1月と4月には,名古屋は栄のど真ん中にある亀井道場で,15人ほどのとても元気な学生さん(名大+藤田保健衛生大,信州、遠くは岡山大からも)を相手に同じような話と診療実習をした。非常に面白かったし、勉強になった。若い人と議論するのは何よりの勉強になる。
今、Family Practice、General Physician志向の学生さんがどんどん増えてきている。また、研修医や開業医の中でも神経疾患をまともに診療できるようになりたいと思っている人はたくさんいる。しかし、そういった、大切な神経内科のサポーターを、まともに教育のできる神経内科医が非常に少ない。需要が大きいのに、その需要に応えられる人材が非常に少ない。だから,私みたいに尻の軽い人間が,あちこち出歩いて,神経内科忌避症を少しでも軽減させ,神経学は面白いと感じてくれる人を増やさなければならない.
元気な学生さんや研修医、熱心な開業医と議論、診療実習ができるから、こちらも何よりの勉強になるというわけだ。とても楽しくて、社会に貢献できる仕事だから、このネタで、寅さんみたいに、全国をドサ回りするのが夢なのだが、今しばらくは辛抱する代わりにテレビ番組を作って、それを見てもらおうというわけだ。今年の夏には放映開始される予定。お楽しみに。