私は好奇心の強い患者

目次

ロハス・メディカル
ここカラダ
かかりつけ医通信
くすりの適性使用協議会
髄膜炎入院日記
ようやく日本も文明国に
お勧めの本:日本の医療と法
病ではなく人
COMLの紹介
匿名でない方からの医療相談への回答
勝者なき裁判ではなく
米国医療に理想はあるのか?
匿名医療相談への回答
書評三題:”誤診列島”,”アメリカ医療の夢と現実”,”アトピービジネス”
日本の医療システムの特徴と問題点
精神科とは何かを知るために
Medical Watcher
国立病院におけるカルテ開示
司法試験受験者とのやりとりから
ベストセラーの予感
生命科学の野次馬HPの紹介
健康情報の読み方
脳神経外科医を理解する
”いい医者,いい病院”をどうやって見つけるか
解熱剤と抗生物質を要求するな
医療事故調査会シンポジウム記録集の紹介
医療と法律の談話室: 医者と弁護士の二足のわらじ
オンライン医学辞書,医学書
賢い問診の受け方
医療事故の相談窓口
業界用語辞典(98/6追補)
初診時内科医判断基準試案
全国病院医院ガイド
薬のことが知りたくなったら
お医者さんがときどき目を通す雑誌
業界ものの本

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ロハス・メディカル
医療者が一般市民に対して説明責任を果たす、一般市民の批判的精神向上に貢献する と言うは易しく、行うは難しと、あなたも思っているかもしれない。で も、この雑誌を読めば、こうやればいいのかとすぐわかる。コンテンツは、誰が読んでも損はない。1冊200円、送料は1冊140円、2冊200円、3〜5 冊240円、6〜9冊390円、10冊以上500円(全国均一)。心と体の両方の健康維持のために、こんなコストパフォーマンスの良い投資はない。メディ カル二条河原と違って、お金を払うことで、読む集中力が違いまっせ。
ここカラダ

『ここカラダ』というサイトがオープンした。リクルー トと三井物産の合弁だそうな.

医療サービスでのポータルサイトを意識しているようだ.health care分野では,このように,ユーザー側からのポータルサイトを明らかに意識して運営されたサイトは,これまでになかったように思う.

とりあえずの課題は
○わかりやすさというベネフィットと,みのもんた化というリスクのバランスをどうとっていくのか.
○health care providers側にあるgeneralistとspecialistの葛藤がこのようなサイトにも影響を及ぼすのか.
○このようなポータルサイトは,health careの分野でのpublic relations, media relationsひいては一般市民のliteracy育成(←最終的な目標はこれになる)に貢献できるのか.

内容のアップデートとメインテナンスだけでも大変だが,それだけに終わらずに育ててもらいたい.


かかりつけ医通信
一般市民にとって、一番頼りになる医療情報資源だろう。二条河原よりずっと上、上品でわかりやすい。一般市民との関係作りPublic Relationsに果たす本サイトの役割は限りなく大きい。
くすりの適性使用協議会
くすりの適正使用協議会のホームページには,患者さん向けの”くすりの しおり”,リスク・ベネフィットの判断に関する絵本,”副作用かなと思ったとき”など,一般市民に向けた解説が豊富です.こういう資源ををどんどん活用し てください.
髄膜炎入院日記
普通の日本人が普通の日本の病院に普通の病気で入院し,普通の入院生活を送るということはどういうことなのか.癌の闘病生活でもない,医療事故の内部告発 でもない,数としてもっともっと多い普 通の入院生活の問題点を克明に記した名著

ようやく日本も文明国に
そう,ようやく解熱剤の使用に対する警告が普及してきましたね.私も前から盲目的に解熱剤を要求する親を罵倒し てましたし, 浜 六郎さんも前から言ってい ることなんですが,それもこれもインフルエンザ脳症で何人も死んでからです.ライ脳症のことを考えれば20年以上前にこうなるべきだったんですが,こんな に時間がかかりましたね.暗黒列島は,死人が出ないと文明国になれないのでしょうか.
ここで強調しておきますが,解熱剤としての非ステロイド系消炎剤(NSAIDs)の危険性は小児に限ったことではありません.成人でも,2003年1月に「インフルエンザにボルタレン(ジクロフェナク;錠剤および座剤)とバッファリン(アスピリン製剤)など を使用して脳症になり死亡した40歳代の男性」に対して、因果関係が認定されて遺族年金の支給が決定されています。
日本の医療と法
ロバート・B・レフラー著.長澤道行訳.日本の医療と法ーインフォームドコンセント・ルネッサンスー 頸草書房.本体2700円.

日本の医療サービスで毎日起こっている非合理な出来事の根源がどこにあるのかは,新聞を読んでも,テレビを見ても,決してわかりはしない.しかし, この本にはそれが書いてある.著者はアメリカ人だが,この本はありきたりの日本医療批判の本ではない.また,狭い意味でのインフォームドコンセントを論じ た本でもない.綿密な取材と冷静な分析によって,医療サービスを提供する側,受ける側のどちらにいる人々にも,日本の医療が直面する問題点とその原因が, よくこなれた訳でわかりやすく書いてある.そればかりではない.副題に,”ルネッサンス”とあるように,この本を読むと,我々がこれまでやってきたこと が,間違ってばかりはいなかったという,至極当たり前のことに気づかせてくれるし,これからの日本の医療サービスが進む方向に,必ずしも悪いことばかりが 待っているわけではないということも教えてくれる.


病ではなく人
病を見るのではなく,人を診なくてはいけないとよく言われる.医者ばかりではなく,病む人に相対する全ての人に,この教訓を心得てもらいたい.下記はある 学生さんが,知人の病名について問い合わせてきた際の返事である.

>  実は、知り合いにその病気にかかっている人がいます。1度だけ
> 病名を聞いた事があるのですが、大分前の事で忘れてしまったのです。
> 最近になって「もっと、その病気についての知識を持とう」と思いインター
> ネットで調べ始めたのです。
>  本人に聞けばすぐに分かる事かもしれませんが、それには少し気が
 > 退けるので、この機会に池田先生にお伺いさせて頂きました。

医者は,病ではなく人を診なくてはいけないと教育されます.病気そのものではなく,その病気を持って悩んでいる人の悩み,苦しみ,病気の原因となっ ている生活習慣,そういったものに注目して診療していかなくてはいけないということです.

具体的に例をあげます.ここに糖尿病の患者さんがいるとします.血糖値の数字に注目してお薬を加減することは,マニュアルさえあれば医者でなくても できることです.それよりもはるかに大切なのは,その患者さんが,ご飯がおいしく食べられるか,食欲はどうななの,仕事場のストレスでお酒の量が増えてい ないか,タバコはどうなのか,日常の運動量はどうなのか,そういった生活,はてはこれからの人生観にまで関わって診療していくことです.

>  本人に聞けばすぐに分かる事かもしれませんが、それには少し気が 退けるので、
なぜ気がひけるのでしょうか?本人が気分を悪くするからでしょうか?本人が気分を悪くするようなことでも,私になら聞けるのですか?それが本人のためにな るのでしょうか?私は医者ですから,病を負っている本人が気分を悪くするような話はできません.

病を負っている人のために何かしようというのなら,実は,病名とか病気の知識とかはどうでもいいことなのです.その人のために何かしてあげようとい うのであれば,まずは,その人が話をしたそうにしている時に(そっとしておいてもらいたい時もあるでしょうから),ひたすら聴いてあげることが大切です. 実はこれは,病気のプロである医者が,患者さんに出会って一番はじめにやることです.患者さんと出会って,はじめにやることはひたすら患者さんの話を聞く ことです.いや,何回も会っている患者さんでも,まずは体の調子を聴くわけです.


COMLの紹介
これだけ着実な活動をしている組織を紹介するのはちと遅すぎた感がある.NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML:Consumer Organization for Medicine & Law (医療と法の消費者組織)は,医療サービスの消費者が賢くなるための組織である.最も大切な点は,この組織が,今から12年も前に医療サービス消費者側か ら起こって,今でも消費者により維持されていることである.しかし,そこには,一部の患者団体にありがちな医療者側をはじめから敵対視する姿勢は全くな い.医療者側を対等な交渉相手と考えて,その相手とどうやってうまく交渉して,よりよいサービスを提供させるかという,賢い大人の姿勢が明らかに示されて いる.

匿名でない方からの医療相談への回答
お手紙ありがとうございました.御父様のこと,さぞかしご心配と存じますが,ほとんどの場合,実際に診療していない医者は,受持っている医者にはかないま せん.お手紙の情報だけで,主治医よりも優れた助言ができると考えるほど,私は,自分が名医とは自惚れていないつもりです.

実際に診療していても,よかれと思って行った治療や助言が裏目に出ることも多々あります.入院患者さんが,夜具合が悪くなったと看護婦が連絡して も,当直医が電話で指示を出すだけで,実際に診察に来ないとしたら,誰もがその医者を責めるでしょう.ましてや,お手紙の情報だけで,気軽に判断し,その 後の経過観察や説明もできず,悪い結果が生じた時は責任もとれないような状況では,残念ながら,何とも申し上げられません.



勝者なき裁判ではなく
医療事故・医療紛争の裁判は勝者なき戦いである.それは決して悪徳医師対正義の,勧善懲悪の戦いではない.原告にも被告にも勝利はない.果てしない不毛な 論争の末に,どちらが金を失うかが決まるだけで,命も,名誉も帰ってこない.心の傷も癒されない.これではいけないというので,メディカル・コンフリク ト・マネジメントが提案された.医療者もそうでない人も,これだけ医療事故が多いとわかった今,いつ何時自分が当事者になるかわからないと覚悟すること は,最低限の危機管理である.その覚悟が出来たならば,以下の資料を読むべきである.裁判では決して解決できないものにどう対処するか,医療紛争にどう対 処すべきなのか,以下の資料はそれを教えてくれる.

李 啓充先生のコラム(続 アメリカ医療の光と影:第7回 医療過誤訴訟に代わる制度.週間医学界新聞2002年7月15日号)は非常にわかりやすい.医療過誤訴訟に関して は,同じシリーズの,Defensive Medicine(防衛医療)同2002年5月27日号も参考にしていただきたい.こちらはネットでも読めるようになっている.

和田仁孝,前田正一 医療紛争ーメディカルコンフリクトマネジメントの提案.医学書院

著者らの言いたいことはよくわかるのだが,日本語がこなれておらず,読みにくい.法曹家独特のわかりにくい言い回しから抜け出せていない.もっと日 本語を勉強しなければ.

ネット上では,「医療被害防止・救済システムの実現をめ ざす会(仮称)準備室」のホームページへどうぞ.


米国医療に理想はあるのか?:半可通の医療改革論者によってしばしば米国の医療が礼賛されるが,実 際に患者としてサービスを受けた経験談が何よりも実情をよく物語っている.
匿名医療相談への回答

性懲りもなく,医療相談が来る.おまけに匿名の相談と来ている.先日は義理の母親の死因の問い合わせのメールである.診察していない患者の死因につ いてぺらぺら喋るほど,私はいい加減な医者と思われているのだろうか.下記がその返事である.

匿名様,街角で,見知らぬ人に,いきなり家族の死因について相談を受けたら,あなたは何と思うでしょうか.ましてや,手紙は相手の顔が全く見えない のです.

1.まず,匿名の医療相談は受けられないこと:その理由は,

オンライン医療 相談は閉鎖しました

私がネット医療相談をやめ た理由

をご覧下さい.

2.お手紙の内容からだけでは,情報に乏しく,責任あるコメントはできないこと.私は街角の易者ではありません.

3.責任あるコメントをするためには,公式な手続きを経て文書として記録を残さなければならないこと:生きている方の診療なら当然,診療録(カル テ)を作るわけです.亡くなった方に関しても診療録,そして解剖の記録があれば,それが必要なわけです.それらの膨大な記録を一つ一つチェックして,文書 として回答を出す.それがプロの仕事です.

4.ですから,まず,お母様のカルテ,レントゲンフィルムの一式,解剖の記録の開示を病院側に求めるべきなのです.そして,私がコメントするために は,その写し(コピー)が必要なのです.

5.しかし,病院側が開示に応じるかどうか,私にはわかりません.というのは,診療録の開示は本人に対してだけであって,多くの病院では,家族に対 しての開示を義務付けていないからです.これはたとえ家族であっても,本人の秘密を漏らすことの問題がからんでいます.

6.もし,病院側が開示に応じない場合には,次の手段として,弁護士に依頼して診療録の証拠保全という法的手続きを行ないます.わかりやすく言うと カルテの差し押さえです.医療事故訴訟のときはこの手段を使いますが,必ずしも裁判を前提にしなくてもいいのです.カルテ開示をしてくれない.でもどうし ても真実を知りたいという時にこの手段を使うわけです.ただし,診療録証拠保全には弁護士に払うお金がかかります.診療録の量にもよりますが,30−50 万円前後かかります.

7.依頼先弁護士の紹介など,診療録の証拠保全に関しては,

医療情報研究所 160-0023 東京都新宿区西新宿5-8-14 西新宿元木ビル401 電話 03-5358-2668  ファクス 03- 5358-2889 にお問い合わせください.


書評三題:”誤診列島”,”アメリカ医療の夢と現実”,”アトピービジネス”

誤診列島ーニッポンの医師はなぜミスを犯すのかー中野次郎(ナカノ.ジロウ)ホーム社.
題に釣られて買ったのだが,こりゃ,駄目だな.買って損した.こんなは紙屑が売れると考えているとしたら,著者も出版社も頭がよくない.

なぜって,陳腐なアメリカ臨床礼賛と日本臨床こきおろしに終始しているだけだからだ.もう,そんなことは著者がアメリカに渡った45年も前から,誰 でも思っていることなんだ.問題は,なぜ,いまだに日本の医学教育,卒後研修制度が廃屋同然に放置されているか,そして,その廃屋を素晴らしい住処にする ためにはどうしたらいいかなんだ.これらの問題を論じなければ,かつてのアメリカントラディショナルを紹介したファション雑誌が古本屋の店先に並んでいる だけの価値しかないじゃないか.

これからの日本の医療をどう改善していくか提言するためには,世界最高水準の製品を生みだしたいくつかの日本の製造業と医療の対比,国民皆保険制度 と,金さえ払えばまともな診療を受けられるが,貧乏人は野垂れ死ぬしかない社会との対比,広大な合衆国での医療の地域格差,アメリカばかりでなく,欧州各 国の事情はどうなっているのかといった論点が必要だろう.さらに,医者の教育ばかり考えていてもだめで,医療サービスの受容者側のサービス選別眼を育てる 方策も考えないと,医療サービスの質の向上は望めない.そのためにはどうするかといった提言も必要だ.この本にはそういった提言が何一つなされていない. 日本の医者がぼんくらだと非難して患者をいきり立たせたところで,肝心の患者の方がサービス内容の改善策を提言できるレベルにまで成熟していないから,い くらアジ演説をしても全くの無駄なんだ.怒って現状が改善するなら,こんな簡単なことはない.そうだったら,日本の医療はとっくによくなっている.そんな こともわからないから,アメリカンファッションの紹介で足れりということになっちまうんだ.

”アメリカ医療の夢と現実”(社会保険研究所刊)(Bodenheimer TS and Grumbach K. Understanding Health Policy. A Clinical ApproachAppleton & Lang, 1999)

それと比べるとこの本は素晴らしい.理由は,制度の解説を述べただけの類書と違って,具体的な症例,現実に突き当たった問題を通して,アメリカの医 療保険制度の問題点を解説しているので,大変わかりやすく,また,A Clinical Approachという名の通り,臨床医の共感を呼びやすい内容になっているからです.厚めの本ですが,肩が凝らずに,夕食の後や寝床の中で小説感覚で読 み進めることができます.訳もこなれていて読みやすくなっています.

例えば,本書P436から引用しますと,

”ランソン医師は困惑した.彼には,CTスキャンで発見されるような重大な病変がゼッド氏の腹部にあるとは思えなかったのである.CTスキャン検査 を行うことはできるが,コストの問題がある.ランソン医師は,ゼッド氏が出来高払いの保険に入っているのか,あるいは人頭払い方式のHMOに加入してい て,放射線診断の費用はランソン医師の負担になるのかどうか定かでなかったので,ゼッド氏に保険の給付内容を確かめることにした.しかし,経済的な問題で 臨床診断を左右することについて,良心の痛みを覚えた”

(テレビの時代劇でおなじみの,”病気のおっかさんを助けるために,朝鮮人参がほしいが,高くて買えない”といったような状況が,この本にはよく出 てきます.世界中の国が悩んでいる医療経済の最大の問題は,この朝鮮人参の値段を誰がどうやって負担するかということでしょう)

日本語版への序も印象的でした.

”(前略)米国の2人の医師が書いた医療政策に関する著作が,日本の読者によって評価されることは驚くべきことかも知れません.なぜなら,多くの点 で,日本は米国が発展させてきた医療システムよりもすぐれた医療システムを持っているのですから.日本では,全国民が医療保険に加入しているのに対し,米 国では,4000万人以上が医療保険を全く持っていないのです.さらに,日本の1人あたりの医療費は米国よりもはるかに低く,しかも,日本国民は米国国民 よりも健康です.

このような事実からすると,日本人が我々の著作を学ぶというより,米国人が日本の研究者に医療政策について教えを乞う方が理にかなっているのかも知 れません.それでもなお,私たちは本書が日本の読者の関心を呼ぶであろうと信じています(後略)”

医療従事者以外の多くの人々にも,是非とも読んでもらいたい本です.

なお,このような面白い本の訳者4人のうち,二人が厚生官僚であることを考えると,(厚生労働省という組織は機能していないとしても),役人一人一 人の能力はやはり侮れないなと思いました.

これと同系列の本ですが,李 啓充著 アメリカ医療の光と影ー医療過誤防止からマネジメントケアまで も,とてもいい本です.勝った将棋よりも負けた将棋の方が学ぶべきことが多いと言います.アメリカの医療保険制度は失敗した,その失敗例から学ぼ うという基本的な姿勢がまず大切でしょう.

竹原和彦.アトピービジネス.文芸春秋社:
これは出色.お薦めです.病める人々を食い物にする商売は多いけど,それに対して,臨床での正義を武器に敢然と戦いを挑むのは,並大抵の度胸じゃできませ ん.しかも,木下藤吉郎クラスの跳ねっ返りではなくて,加賀百万石の,国立大学の教授様ですよ,さあ,お立ち会い.国家公務員は,スキャンダルさえ起こさ ず,事なかれ主義で診療していればいい.つまらないことに関わり合いになりたくないと考え勝ちなんです.しかし,そんな事なかれ主義を打ち捨てて,金だけ が全てだというがりがり亡者どもを相手に,臨床での正義を武器に完全と戦いを挑むのは,並大抵の度胸じゃできませんぜ.

文章や本の内容そのものは,極めて冷静,分析的,科学的です.ちんぴらやくざを相手に喧嘩をする時は,こうやるんだぞっていうお手本を見せてくれま す.泣く子も黙る(?)雑誌”Cell”に筆頭著者の論文もある竹原先生は,今もなお,アトピー患者からのファクス,電子メールの窓口を統括し,金儲けの 食い物になろうとしている患者を救う戦いを続けています.→日本皮膚科学会ア トピー性皮膚炎治療問題委員会

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日本の医療システムの特徴と問題点
NTTデータ主 催の講演会と討論会で,講演会要旨は着眼点がいいし,討論会も面白い.ご一読あれ.
精神科とは何かを知るために
Dr林のこころと脳の相談室の非常に優れて いる点は

1.誰にでもわかりやすく,しかし,他科の医師にも利用価値のある大切な臨床情報ももらさずに,簡潔に精神疾患についてまとめられていること.例え ば,パニック障害,境界型人格障害といった,他科の医師でも知っておくべきだけれども,適切な解説が少ない病気のことも,非常にわかりやすく書いてある.

2.冷静な臨床家のコメントである.精神疾患を記述するとき,精神科医でも,患者団体とか,メディアとか意識してしまって,変に防御的になって,ぎ くしゃくした論調になってしまうことが多いのだが,このページの記述は構えたところがない.

3.薬の解説,参考となる書籍,相談すべき施設も記してあって,非常に親切.

4.ページの構成も非常にわかりやすい.どこに何が書いてあるか,迷路のようになってわからなくなってしまうどこかのホームページとはひどい違い だ.

このページを読んでいるあなたにとって必読のページである.


医療法規/事故関連のサイトMedical Watcherの紹介
類似のサイトはいくつかあるのだが,このMedical Watcherの優れている点は,

1.アップデートが頻回で,新しい情報がすぐ読める.
2.情報の質が高い.例えば,厚生省の幹部の名簿,レジオネラ症防止指針など,我々医療関係者にとって第一級の資料が掲載されている.
3.特定の立場に立たず,主観にもとづくコメントを避け,資料や記事をそのまま紹介して,問題点は読者自身に考えさせようとする立場が徹底している.

運営しているのは,医療の現場と行政の両方に精通しているプロに違いないのだが,残念ながらそのプロフィールは紹介されていない.


国立病院でもカルテ開示はじまる
国立病院におけるカルテ開示の指針ができて,職場内で回覧となりました.以下要点を示します(例によってお役所の文書なので,要点を抜き出すのがとても難 しい)まだ,厚生省のホームページや,報道発表には見あたりませんが,特に内部に限った文書ではありません.

文書名:国立病院等における診療情報の提供に関する指針について(報告)
日付:2000/6/27
発行元:国立病院等診療情報提供推進検討会議(注:厚生省内の組織ではない)

ポイント:
1.インフォームド・コンセントの一環としてカルテ開示を進める.(池田注:訴訟のような特別な時に限らず,診療への患者の参加促進,患者と医療従事者の 信頼関係の確立のために行うとはっきり唱っている)

2.対象は患者本人と,本人が指名した親族.本人の判断能力が欠如している場合には法定代理人及び実質的に患者の介護を行っている親族またはそれに 準ずる者.

3.開示請求は文書で施設長に対して行う.施設長は診療録等開示委員会に諮って14日以内に文書で可否を回答する.(開示請求文書の書式はA4一枚 の簡単なものです)

4.閲覧が原則だがコピーもできる.(一枚20円)

5.患者死亡後の開示申請は死亡後60日以内.カルテの保管機関は最低5年

6.料金は一件300円.

個人的な印象ですが,開示のバリアはなるべく少なくしてあると思います.大切なのは,患者側がこの制度を意識してどんどん使って,診療をよりよいも のにしていくことでしょう.

以下,私の参加しているメーリングリストの議論から.

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>国立病院におけるカルテ開示の指針ができ,院内で回覧となりましたので,皆様の施設でのご参考になればと思い,要点を示します

カルテ開示について皆さんの意見をいろいろ聞きたい、と思ってメイルします.私のような開業医のレベルではわりと簡単に医療記録の開示が可能なので すが、国立病院、といった大きな組織ではなかなかむずかしいのでは、と思います。現実問題としてカルテそのもののコピーを求められる方はどのくらいおられ るのでしょうか?

また、開示請求は文章で施設長に対して行う、、となってしまうと患者さんにとってはかなりハードルの高いものになってしまうのでは?とおもいます が、、そして施設の診療録開示委員会、というのは実際にどのように機能するのでしょうか?

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> 文書名:国立病院等における診療情報の提供に関する指針について(報告)日付:2000/6/27 発行元:国立病院等診療情報提供推進検討会議

本日,当施設でも診療会議でこの問題が取り上げられ,指針を拝見しました。追加するとすれば,過去に遡れるのはchartの保管期間である5年であ ること。

希望があれば,医師が内容について直接説明することもあること。などです。コピーの費用や料金については記載がありませんでした。隣の先生は,「こ れは訴訟の前段階かな」と言っておりましたが,どのような利用のされ方がなされるのか,頻度はどの程度なるのか関心のあるところです。

それにしても診療録等開示委員会は対応が暫くは混乱するかもしれません。本人からの開示要求であれば,精神科などごく特殊な場合以外は事務的に無条 件に行えば良いと思うのですが。これを契機に本人への告知が進めば良いと考えています。

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> また、開示請求は文章で施設長に対して行う、、となってしまうと患者さんにとっ
> てはかなりハードルの高いものになってしまうのでは?とおもいますが、

私もそう思います.しかし,下っ端ではなく,最高責任者に話をつけるというのが,交渉の正道です.そして,文書で申し入れるのは,後で”言った,言 わない”とならないように,お互いに必要なことだと思います.文書の書式自体は戸籍謄本申し込み用紙と同じ程度に簡便化されています.また申請時に運転免 許証,パスポート,保険証など本人確認の書類を要求されますが,これはやむを得ないでしょう.銀行口座開設よりも大切な手続きですから.

> そして施設の診療録開示委員会、というのは実際にどのように機能するのでしょう か?

まだ始まったばかりでしばらく手探りの状態が続くと思います.坂先生の投稿の中で,ある医師が言ったような”訴訟の前段階”(裁判所の手続きとして の証拠保全に代わる使い方という意味だと思います)に留まるだけでは情けないですね.

趣旨の通り”患者と医療従事者の信頼関係の確立のために行う”ためには,この制度をどんどん活用していくべきだと思います.そのためには運用の工夫 が必要です.例えば,外来での入院予約の時に開示申請をしてもらって,入院時に外来カルテ,退院時には入院カルテ(と退院サマリー!!)を見せながら患者 と家族に説明をするといった使い方です.

カルテをインフォームドコンセントの道具として使うことが常態化すれば,通常の開示請求審査は,単なる稟議書の形になり,診療録開示委員会は,痴呆 患者の遺産相続がからむような,明らかに開示に問題のあるケースをチェックするための会合になるでしょう.

上記いずれもお役所の掟です.個人商店ではそんな大げさなことやらなくても,店主の解説付きで自分の体の記録が気軽に見られる,そんなサービスに魅 力を感じてくれるよう,患者側も変わってくれれば,お役所の掟も変わってくると思うのですが,そこまでは長いですね.

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司法試験受験者とのやりとりから

> 私が学生の頃、重要判例のCD-ROMがありましたが、確か10万円単位の値段だっ たような気がします。しかも毎年更新されるんですよ。ぼってますよね。(ーー;)

たとえば重要判例の無料アーカイブを弁護士会として作るとかすれば,こういう商売はなくなっていくでしょう.

内科専門医会の会誌は,会員でなくても会誌を無料で,オンラインで閲覧できるんだ.
http://www.naika.or.jp/bjim/book.htm
将来的には,日本語の症例報告や医療過誤のケースを医者でなくても検索できるようにして,日本の臨床全体の底上げに役立てたいと考えています.

> 以前、バイト先の弁護士の先生がおっしゃってたのですが、弁護士というのは法令や判例と市民との架け橋であるべきだそうです。一般市民は条文や判例をみた ところで正しい判断を下すことが難しいので、それを適切な形でアドバイ スするために存在するのだとか。

医者も同じね.診療してやるじゃなくて,セカンドオピニオンの提供なんかも非常に重要な仕事.例えば医療過誤訴訟になるはるか手前で,診療の疑問に セカンドオピニオンを提供していけば,多大な社会的労力の節約になるようなケースがたくさんある.問題はそのような仕事が社会的に認められ,立派な診療行 為として評価されるような風土が形作られていないことなんだ.

> だから試験問題は論点がはっきりしているので簡単だ、と合格者の方は言うんですけどね。(^_^;) 

そうだろうね.免許をとるというのは現場に出るための出発点に過ぎない.この5月から医師免許をとったばかりの何千人もの新人が働き始めた.この季 節になると,責任感に押しつぶされそうになって何度も医者をやめたいと思った自分の経験を思い出す.

> 弁護士の方が法律相談のページを開いていたところ、似たような事案だから自分にもあてはまる、と勝手に判断して「お前のせいだ!責任取れ」と言ってくる人 がいたそうです。結局そのページは閉じてしまいました。

よくわかります.オンラインの相談はリスクが大きいので私もやめました.一番嫌なのはやはり本人がどういう人かわからないこと.実際に何回かお会い した人は安心ですし,顔がわからなくても,ほとんどの人はまじめなご相談で,おかしな人はほんの一部なのですが,運悪くそういう人にあたると仕事に大きな 支障をきたすします.

今はそのようなほんの一部のおかしな人をスクリーニングできるようなシステムを作って医療相談の窓口を作ろうとしている人に協力しています.

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ベストセラーの予感
下記の本は,”まんが日本経済入門”並のベストセラーになる予感がする.

プロから学ぶ 完全図解の家庭介護術 双葉社 ISBN4-575-29060-2 監修 高橋昭彦 編集 グループまごのて 本体価格 1500 円「笑顔の介護」のために

以下巻頭言の一部:在宅で暮らす意味は、病院と同じケアをすることでも、自宅の部屋を病室に変えることでもないと私は思っています。もっと大切なこ と、それは「笑顔」です。病院では暗い顔をされていた方が、家のにおいや雰囲気を感じ、家族とふれあうことによって、生き生きとした笑顔を見せられるよう になるのです。これはどんなに良い病院や施設で最先端の技術をもつスタッフがケアしても到底かなわない部分です。

ところが、実際に家庭に訪問してみると最初の笑顔はどこへ行ってしまったのでしょうか。熱心に介護されている家族が疲れ果ててしまったり、介護を受 けておられるお年寄りが暗い顔をされてしまっている状態をよく経験します。

「笑顔の出る介護」をうまくやるためには、熱意だけではダメです。賢いやり方についての知識や発想の転換ができるアイデア、そして外出ができたり介 護を楽にできる道具などの情報が必要です。しかし、実際に介護を始めてからでないと何が困るのかわかるはずもないので、こうした情報の多くは介護経験のな い方々を素通りしていきます。一方で介護をされている方には、本屋さんに行く精神的余裕も介護教室に通う機会もまずありません。知識や情報が伝わらない ―――これが家庭の介護者が感じるストレスの大きな原因になっているのです。

この本は、家庭で介護をしたいと思っている方のために、非常にわかりやすい図解と解説、そして生活に密着した情報を満載しています。読んでいただき たいのは、これから家庭で介護を始められる方はもちろん、家族の相談を受ける方々、そして実際に介護に関わるスタッフの方々です。家庭でいま介護をされて いる方にプレゼントしていただくのもおすすめです。

私がこの監修をお受けしたのは、双葉社の担当者と著者の1人である可知さんとお会いした時、家族が「こういう本があれば助かる」と言って下さる本を 作りたいという熱意に感じ入ったからです。この本は、「家族が読めば元気が出る、プロが読むとためになる」内容になっていると思います。

私たちはいつでも在宅介護の受け手や担い手になる可能性がありますから、この本の主役は皆さんです。在宅介護にはこれしかないというような王道はあ りませんが、この本の情報をひとつのアイデアとして上手にあなたの生活に取り入れていただけば、もっと気楽に介護に向き合えると思います。介護を受けてお られる方が笑顔になり、介護をされている方がリラックスして介護をできるようなオアシスとして、皆さんがこの本を活用されることを願っています.

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生命科学の野次馬HPの紹介
ネイチャー・ジャパンのホームページで無料掲載中(登録不要)のBioNewsは 生命科学の素人も専門家も非常に楽しく読めるお薦めサイトです.

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健康情報の読み方
あなた,こんなとこ読んで暇つぶししてちゃだめ.日経BPのホームページにコラムを書いていらっしゃる小内 亨(おないとおる)大先生のページに行って, ちっとは勉強しなさい.冗談ではありません.ここまで冷静に物事を見つめて,その考察結果をわかりやすい日本語にできる医者がいるとは・・強烈な嫉妬を感 じます.同じ内科専門医でもこうも違うかね.わたし,ホームページ閉鎖しようかな.これだけ書かれると,メ ディカル二条河原なんてなんぼのもんじゃいって気持ちになるわな.

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脳神経外科医を理解する

殺人と尊厳死の間で.伊東政彦著.主婦の友社.

つくづく脳外科は因果な商売だ.神経内科医から言われたくないわいと,向こうから声が返ってきそうだが,この本を読む前も私はそう思っていたし,こ の本を読んでからその思いを一層強くした次第である.10年やった後商売替えをした神経内科医を私は知らない.神経内科医は10年たつと悩まずに開き直る ようになる.(これがまた危ないんだが).しかし,10年前後のキャリアで手術の腕も一人前になった後で脳外科から足を洗っていった医者を何人も知ってい る.どんな科でも10年やっているとなかなか足抜けできないものなんだが,脳外科の場合は違う.

脳神経外科医というと,いつも自信満々で,俺が一番偉いんだと思い込んでいる人種という先入観を持っている人も多いだろう.もちろんそういう人種も いる.しかしそうでない人種もいることが,この本を読めばわかる.

そういう意味では神経内科医の方が傲慢である.俺が病人を作り出したのではない,他で作った病人を引き受けてやっているんだと自分に言い聞かせるよ うになるからだ.(果たしてそれがいつも本当かどうかは怪しいもんだが)一方,脳神経外科医は日々自分の手で病人を作り出している現実が常に目の前にある ので,いつまでたっても毎日が針のむしろなのだ.

内容がいいのに題がまずいので,御素人さんにとっては業界内幕の暴露本みたいに思えるかもしれないが,そうではない.むしろ内容は地味と言えるだろ う.植物状態,脳死,臓器移植といった社会的な大問題も,この本一冊読めば理解できる.多くのメディアの番組や記事が見落としている問題の本質を,この本 は的確にまとめている.著者はまじめな勉強家の脳神経外科医である.例外に漏れず,彼も日夜悩みながら脳外科医を続けているのだろう.この本の著者のよう な人は脳外科に踏みとどまってもらいたいものである.

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”いい医者,いい病院”をどうやって見つけるか
”いい病院”をどうやって見つけるかは誰でも関心があるだろう.ここを読んでいるあなたなら,週 刊誌の特集記事が全くあてにならないことはよく知っているはずだ.

ではどうすればいいか.もちろん患者一人一人により,また,同じ患者でも病気により,名医は全く違ってくるので,どんな場合にも当てはまる基準はな い.しかし,基本的な要素はある.病院にせよ,個人の医師にせよ,診療の質を維持するために大切なのは,第三者からの批判に常に耳を傾ける態度だ ろう.(このような態度は医療以外の仕事や日常生活面でも大切である).

具体的に言うと,カルテやレセプトといった情報開示を積極的に行って いる医師,病院,財団法人日本医療評価機構のような第三者機関の評価を積極的に受けている病院には高い得点を与えるということだ.

とまあ,ここまでは偏差値好きの人への助言ですな.実は本当に大切なのは目の前にいるあなたをしっかり診てくれなければ話にならないんで,あなたに とっての名医はあなた自身が責任を持って決めなければならない.そんなこと言われたって私は素人だからという人はヤブにかかって死ぬがよかろう.あなたは あなたの体の専門家のはずだ.その専門家の自覚がなくて医者の評価を他人任せにする人が多いから,医者に甘えが出るんだよ.

セカンド・オピニオンネットワーク(白血病,リンパ腫などの悪性血液疾患と乳が んのみ:2004年10月現在)

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解熱剤と抗生物質を要求するな
あなたは熱が上がるとその熱を下げることが治療だと思い込んでいないだろうか.そして医者に早く熱を下げろと要求していないだろうか.それは間違いだ.私 が解熱剤を使いたくない理由は山ほどある.

1.熱を解熱剤で下げることは病気を治すことではない.熱を下げても病気が早く治るわけではない.
2.つまり解熱剤は臭い物に蓋式の治療である.熱が病気を起こしているのではなく,病気のために熱が出ているのである.原因と結果の取り違えはとんでもな い治療事故につながる.熱が下がっても体の中の病気はどんどん進む.
3.薬で無理矢理熱を下げると,下げない場合よりも病気がかえって進行する.熱は体に進入した病原体を排除するための体の反応である.
4.解熱剤の副作用は馬鹿にできない.胃潰瘍をおこして出血,気管支喘息の誘発,腎不全,子供の場合はアスピリンによるRye症候群(重症の脳症と肝障 害)とろくなことがない.

多くの心ある医師は,患者の要求に負けてしぶしぶ解熱剤を出しているのが現状だ.(私は極力解熱剤を出さないことにしているが,風邪の嵐の外来で解 熱狂信論者が次々に襲来すると,どうにも抵抗できないことがしばしばある.ただ子供の熱を下げてくれればいいんだというバカな文句あっか!!)親にはほとほと困る).実際に,解熱剤として最 もよく使われる非ステロイド系消炎剤による気管支喘息の誘発で患者が死亡して,医師が訴えられて負けている判例が数多くある.熱を下げろと医者に要求して 子供を殺してしまうことがないように.→浜  六郎さんのコメント参照

私はやむを得ず出すときは比較的副作用の少ないacetamiophenを処方しているが,患者が賢くならないと,医療はいつまでたっても進歩しな い.

それから,まさかあんた,風邪の時,医者に抗生物質を請求していないだろうね.もしそうだとしたら,あんた大馬鹿だよ.賢い患者はね,”先生,その抗生物質,ほんとに必要なんですか?”って聞いて医者 をむかっとさせるぐらいでなくちゃ→あなたの 子どもと抗生物質:不必要な抗生物質は有害になります.そういう馬鹿な患者が多いから,医者もどんどん馬鹿になって,外来での抗生物質乱用でペニ シリン耐性の肺炎球菌が出てきたり,入院での抗生物質乱用でMRSAが出たりするんだ.

日本呼吸器学会がまとめた診療指針「成人気道感染症診療の基本的考え 方」:風邪は薬で治さないも参考に→読売の記事
 

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医療事故調査会シンポジウム記録集
日本アクセル・シュプリンガー出版.定価:2,100円(税込).医療事故のケーススタディと討論集.なかなか勉強になります.医者も患者も読んで損はあ りません.


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賢い問診の受け方

相手がどんな情報を欲しがっているかを知ることは,交渉のもっとも重要な基本である.初診時,医者としては以下のような項目に沿って患者から話を聞き出 す.問診と呼ばれる作業である.問診は初診に際して最も重要な作業である.初動捜査を誤ると事件は迷宮入りになる.逆に言えば,以下のような情報を整理し て伝えられれば,時間の節約はおろか,正しい診断と治療への近道となる.英語圏在住の日本人,あるいは日本語がわからない人のために簡単な英訳もつけてお いた.
参考→病院 に行く前のチェックポイント(ここカラダ提供)

 1.主訴;いつから,体のどの部分に,どんな症状があるのか.

2.既往歴:風邪以外で医者にかかったことは何でも.怪我で外科や整形外科にかかったことを忘れがち.

3.家族歴;自分と同じような病気の人が血縁者にいるか.血族結婚はあるか.血縁者に以下のような病気があるか.癌,高血圧症,心臓病,脳卒中,腎 臓病,アレルギー(薬,花粉症,喘息)

4.薬;常用薬剤(医者からもらった薬以外のものも話す.肩こりが強いので薬局で勧められた漢方薬を飲んでいるとか,いわゆる健康食品,代替医療の ようなものも含む),薬に対するアレルギー(経口薬,注射ともに)

5.嗜好品:例;5年前までタバコを一日10本吸っていた.ビールを毎日500cc.

6.その他:職業歴,自宅で飼っているペット,海外旅行歴・在住歴,性交(パートナーの数,ホモセクシュアル,バイセクシュアル),妊娠・出産.以 上のような情報が感染症や中毒性疾患の診断で非常に重要になることがある.

What doctors want to know

1. Chief complaint: First, they want to know what matters with you, of course. Tell them what (e.g. pain, fever, nausea/vomitting, lumbago, nasal bleeding, syncope), where (e.g. right side of the head, left flank) and when (e.g. this morning, for one year). Your should also tell them if you have had any medication or treatment.

2. Past history: Other than the present complaint, tell them if you have visited doctors in the past and why (e.g. I had abdominal pain three years ago and had Maalox (i.e. the name of the drug) for three months).

3. Family history: Does anyone in your family have a similar complaint or disease? Is there any consanguity in your family? Does anyone in your family have: cancer, hypertension, heart disease, cerebrovascular disease, renal disease, allergy.

4. Medicine: What kind of medicine do you take? including other drugs than prescribed by doctors. Are you allergic to any medication?

5. Habits: Alcohol, smoking, (and sex, if you like).

6. Other crucial infromation: Occupation, pets, staying abroad, sexual behaviour, pregnancy/delivery
 

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医療事故の相談窓口:事故にあってからではなく,事故に実際に遭う前にこうい う組織に関わって勉強していくのが本当の危機管理だろう.患者ばかりでなく,医療者も同様.
患者のための医療ネット(PMネット)
医療事故市民オンブズマンメディオ(Medio)
医療事故調査会
医療改善ネットワーク (MIネット)

医療消費者ネットワークMECON〒167-0054 東京都杉並区松庵3-32-11-403 「メコン苦情110番」03-3332-8119 火曜と金曜日 10:00〜15:00

医療事故相談センター:名古屋を中心に活動する医療事故専門の弁護士集団
電話(平日9:30-17:00受付)052-951-3226


業界用語辞典
冨岡譲二さんのカタカナ 医学俗語集(救急医療編)が充実しています.信州食文化研究会の,医療用語集も 優れている.医学略語 辞典はこちらです(しかし,なぜかうまく働かない).私の作ったは 不完全なものですが,皆さんのご意見を伺って充実させたいと思っています..

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初診時内科医判断基準試案


全国病院医院ガイド


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お医者さんがときどき目を通す雑誌,タブロイド新聞.ただし,宣伝としてただで 配っているので内容の信頼性は保証の限りではない. GO TOP
業界ものの本;医者が間違いをしないという前提は,国や役所が間違いをしな いという前提と同じ意味でしかない.価格は本体価格. GO TOP


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