頑張りという名の隠れ借金

2007/10/23のNHKのクローズアップ現代、”清算か存続か 第三セクター処理の行方”は、今年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、これまで隠れ借金になっていた第三セクターの赤字を地方自治体の連結決算に計上すると、日本全国が財政再建団体だらけになると報じていました。それを見ていて、日本全国で展開されている医療崩壊も、破綻した地方財政にたとえると理解しやすくなるではないかと思いました。

我々は有限のはずの医療資源(人材・労力)を、あたかも無尽蔵であるかのようにふんだんに使ってきた。なぜそんなことができたかといえば、日本の医療人の”頑張り”があったからだ。WHOが世界一と評価したのも、この”頑張り”である。結果的に、医療資源消費者(そしておそらく一部の医療資源提供者側も)は、”頑張りという名の隠れ借金”を、資産と勘違いするようになった。とくに、この頑張りの上に、国民皆保険、一億総中流意識、医療人のパターナリズムの許容といった伝統的なメッキが幾重にも塗られていたために、借金だとは見抜けなかった。

ところが、ここ数年の予算不足、医療の高度化、安全管理要求の高まり、診療結果期待度の異常な上昇といった時代の流れが、メッキを全て剥がしてしまった。資産と思いこんでいたものが実は借金だったことが、ここへ来て初めてわかった人々は、自分の町が財政再建団体に転落して、初めて火の車に気付いた住民顔負けに、上を下への大騒ぎ。いつ、誰が資産を借金にすり替えたんだとの滑稽な犯人探しに血眼になる者、頑張りの提供はもうたくさん、利息を払ってくれとは言わないから、お先に後免とばかりに逃げ出す者、自分のためだけに頑張ってくれ、金はいくらでも出すからと呼ばわる者・・・みなさんはこの劇中でどんな役を演じているのでしょうか?

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