赤ひげ願望

テレビ番組の製作会社でディレクターをしているという方からお手紙をいただいた.

> 私は医療事故の問題について番組にできないか今事前取材をしています。
> 単なる悪徳医者をやっつけると言うのではなく、
> 厚生省の医療行政にも抗議をしようと思ってます。
> 悪しきは医道審議会ですね。日本は欧米のように、医師を監視するシステムがありません。

まあ,警察が警察の監視をするようなもんですから,どうにもならんですよ.だから医道審議会を叩いても意義は少ないと思いますよ.行政や医師会というのは叩かれるのが仕事です.モグラ叩きで何点とったと自慢するような下司な番組よりも,第三者による医療評価機関をどうやって作るかという問題を扱った番組の方がより意義深いと思います.

私は,個人的には民間の医療機関評価会社ができて,それが商売として成り立つように社会が変化しないと駄目だと思います.ムーディーズやスタンダード&プアーズのような格付け会社がしっかり商売をやっているのは,みんなお金が大切で,お金を守るための情報を求めているからです.ではなぜお金よりも大切な命を守るための情報を提供する格付け会社がないのか?週刊誌の”名医リスト”みたいな,いい加減な,まやかし情報しかないのか,ここが大きな鍵ですね.

単純化して言いますと,それは,本当に価値ある格付けをして,本当の名医に患者が殺到しても,臨床の世界での評価や収入増に全くつながらない.つまり,脚光を浴びたからといってプロ野球選手のように騒がれたり,年棒が何億円にもなったりしないからです.この背景には,医者は,名誉や金銭を求めてはいけないという,赤ひげ願望,儒教的文化があるからです.ご指摘の”悪徳医者”という概念も同根だと思います.

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