算数を忘れた田舎者
4人の女性の死を「雑音」として切り捨てた副反応検討部会の不作為
戦後、ヒトラーを「怪物」と呼ぶことで自らの責任から逃げたユンゲやシュペーア、その他の側近たちだけを責めても、問題は解決しません。問題は、戦争がな
いという意味で当時よりは幸運な時代に生まれた者が、そこから何を考えるかということ。ユンゲらの責任逃れの論理も注目に値しますが、何よりも重要なのは、人間がこんなにも、愚かになれるということです。(藤肥孝幸 映画「ヒトラー~最後の12日間~」 2017/12/27)
初めに
副反応検討部会に提出された資料を
見て「やけに脳出血が多いなあ」って思いませんでした?そうなんです。やけに多いんです。では本当にそうなのでしょうか?あいにくランダム化試験はできま
せん。リアル・ワールドではhistorical
controlぐらいしか比較可能な対照がない。幸い脳出血の場合には対照となるアウトカムがある。それが脳梗塞です。「ワクチン接種により脳出血が起こ
るとしたら、ワクチン接種群では日本全体の母集団に比べて脳梗塞とのバランスが脳出血の方に傾く」という仮説に立てて、日本全体をhistorical
controlとしてファイザーワクチン接種群と比べてみました。
確率も順列組み合わせも、小学校で習います(ひろし君がけんた君より右にいる確率は? 「ならべ方」と「組み合わせ」|小学校の「場合の数」の問題の解き方)
赤い狐と緑の狸
ここにちょっと変わったサイコロが2つあります。A型は一つの面だけが赤で、他の5つの面は全て緑。B型は奇数面が狸で偶数面が狐になっています。どちらのサイコロにも「いかさま」はないとします。A型とB型を同時に6回振って、赤い狐が4回、緑のたぬきが2回出る確率はいくらでしょうか?私が計算したところ、1/12の4乗*5/12の2乗*6C4(組み合わせで15)=25*15/144の3乗=0.0126%となります(わたなべ様、御教示ありがとうございました)。
6例の死亡例のうち女性4例の死因は全て脳出血、残り2例は男性で全て脳出血以外の死因:その確率は?
左の表は2021年4月9日に開催された、第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に提出された、資料1-4「国内での死亡例の発生状況について」に掲載された表(クリックで拡大)です。全6例の死亡例のうち女性4例の死因は全て脳出血、残り2例は男性で全て脳出血以外の死因です。死因別の男女それぞれの死亡数は、人口動態統計(確定数)の概況(2020年)のページにある、第6表 死因簡単分類別にみた性別死亡数から計算できます(右下の表)。
算数を忘れた田舎者
すると、6例の死亡例のうち女性4例の死因は全て脳出血、残り2例は男性で全て脳出血以外の死因となる確率は(接種者の男女比が1:1と仮定した場合には)、0.032/2=0.016の4乗*0.969/2=0.484の2乗*6P6(順列で720)=0.001%となりますが、私の計算は間違っていますでしょうか?
↑
と、最初にここまで書いたのですが、人の確率の方は反復試行ではなく、「くじ引きに」なるので大分違ってくるようですが、今は時間がないので、取りあえずこのままにしておきます。今はとりあえず「とてつもなく低い確率でしか、このようなことは起こらない」というアバウトなところで勘弁していただくとして、よろしかったら小学校の算数を忘れた方向けのページをどうぞ→博士達の異常な愛情
自らの墓穴を掘った田舎者
今から半年前、2021年4月9日の時点で異常なシグナルと捉え、アストラゼネカのワクチン同様に接種は一旦中止し、病態の本質とリスクの高い群を見極めるべきだったのです。そうやって数少ない有用なワクチンのリスク・ベネフィットバランスを最適化する道を探るべきだったのです。実際、欧州ではそうしました。当初は欧州でも、他のワクチンでも生じうる既知の免疫原性血小板減少症だと考えていたのです。ところがくも膜下出血や脳静脈洞血栓症など、異常な血栓症・出血がしばしば合併するために、一旦中止して精査したところ、抗血小板第4因子・ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)を伴うワクチン誘発性血栓性血小板減少症(VITT)であることが判明したのです(Greinacher A et al. N Engl J Med 384:2092-2101)。それを千代田区しか知らない田舎者達は「こんなものはノイズに過ぎない」としてその場で切り捨てただけで(出血性脳卒中による死亡数について)今日の今日まで放置し続けてきました。彼らは最初から自分達の墓穴を掘っていたのです。
2021/10/09 uploaded
10/10 updated
→博士達の異常な愛情:脳出血ワクチンを愛したお医者様達
→千代田区しか知らない田舎者
→「ノイズ」として処理された#MeToo
→新コロバブルの物語
→表紙へ