このページでは,比較的新しく,日常臨床で気をつけておきたいと感じた副作用を,例によって順不同で,あくまで個人的なメモとして書き留めたものです.系統的に整理されたものではありませんので,あしからず.系統的な情報は,→国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部
新たにわかった悪い飲み合わせ
SSRIによる低ナトリウム血症
小児とSSRI続報
ビグアナイド剤による巨赤芽球性貧血
COX2阻害薬投与後の急性一過性視力障害
小児・思春期のうつ病に対するSSRIをどうするか
学校で広がる薬物依存
ドパミンアゴニストが肺線維症のリスクに?
チアゾリジン系薬剤が心疾患のリスクに
リスペリドンによる脳血管障害
Itraconazoleによるうっ血性心不全
薬剤性肝障害の総説
COX-2阻害剤の大いなる幻影
雑記帳(単なる個人用ゴミ箱)
FDAが態度を決めかねているのは,SSRIによる自殺のリスクの評価が,まだまだはっきりしないという背景がある.次のJAMAの論文があるようだ。下記のような論文もJAMAに載っているが:
Wagner KD and others. Efficacy of sertraline in the treatment of children and adolescents with major depressive disorder: two randomized controlled trials.JAMA. 2003 Aug 27; 290(8): 1033-41.
multicenterでやった376人のRCTなんですが、たったの367人じゃあ、安全性については何もわからんだろうというのが英規制当局の見解だろう.私もそう思う.マスコミでは,FDAが小児へのSSRIを厳しく制限しないのは,専門家達が製薬会社とぐるになっているからだと攻撃する向きさえある.
The New York Times reported that the task force did not have access to some data used in the United Kingdom. Critics also pointed out that the report was not based on a meta-analysis, which is now being done by other researchers, and that the majority of experts on the task force had "significant financial ties" to drug companies.
結局はリスク・ベネフィットの判断になるが,どうしてもゼロリスクを求めがちな一般市民の感情にどう対処しているのか,FDAのメディア対応に非常に興味がある.
Filioussi K, Bonovas S, Katsaros T. Should we screen diabetic patients
using biguanides for megaloblastic anaemia? Aust Fam Physician. 2003 May;32(5):383-4.
ただし,日本ではフルオキセチンはまだ販売されていない.
線維化反応(肺線維症や腹部線維症のような)が,麦角誘導体に関連して,まれに生じることがわかった。この委員会は,パーキンソン病の治療に適応のある [‘Celance’](pergolide),[‘Parlodel’](bromocriptine),[‘Cabaser’](cabergoline)およびlisurideに関連する線維化反応のエビデンスを検討した。これは,Pergolideの使用がその他の麦角誘導体よりも,線維化反応の高率での報告に関連性があるという自発報告からの疫学的所見を受けてのことである。委員会は,利用可能なデータでは,この見かけ上の報告割合の増加が本質的なリスクの増加を反映しているのか,報告バイアスのようなその他の因子によるものなのかを確認することができなかった。委員会は,患者は麦角誘導体の服用期間中,線維化障害の症状に対し,定期的に注意深い観察が必要であると勧告した。製品情報はこれを反映して改訂され,記事はCurrent Problems in Pharmacovigilanceで公表された。
池田コメント:麦角誘導体としては,古典的なセロトニン拮抗薬であるmethysergide(偏頭痛の治療などに使われたことがある)による後腹膜線維症が有名である.今回の勧告は,methysergideに限らず,ドパミンアゴニストにも線維症のリスクがあることを示唆している.
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チアゾリジン系薬剤(ロシグリタゾンのように,○○グリタゾンという名の一般名の薬)の使用と2型糖尿病患者における心疾患のリスク.後ろ向きコホート研究
Delea TE, Edelsberg JS, Hagiwara M, Oster G, Phillips LS.Use of Thiazolidinediones and Risk of Heart Failure in People with Type 2 Diabetes A retrospective cohort study. Diabetes Care. 2003; 26(11) : 2983-2989.
背 景:米国ではTZDs(thiazolidinediones,チアゾリジン系薬剤)として,troglitazone(2000年3月自主回収),pioglitazone,rosiglitazoneが承認された。TZDは心臓,腎臓および/もしくは血管系(rosiglitazoneは肺内皮細胞の透過性を増加する可能性がある)に直接的に作用し,または腎のナトリウム保持を増加させるインスリンの働きを間接的に促進することにより心疾患のリスクを増加する。特有な糖尿病性心筋症もあるため,糖尿病の患者は心疾患のリスクが増加しているので,心筋疾患(初期の心筋症を含む)のある糖尿病患者はTZDの影響をとくに受けやすい可能性がある。
目 的:TZDsに対し,その他の経口抗高血糖薬を服用している2型糖尿病の個々人における心疾患の事象の比較。
調査のデザインと方法:我々は,医療保険のデータベースを用いて後ろ向きコホート研究を行った。研究の標本は,1995年1月から2001年3月まで経口抗高血糖薬を服用している2型糖尿病の患者である。前年に心疾患のあるもしくはdigoxinや利尿剤を服用していた人は除外された。主要評価項目は,心疾患の診断で入院もしくは外来通院しているとして定義される心疾患の事象であった。
結 果:TZD投与患者群(n=5,441)は,コントロール群 (n=28,103)よりも若かったが,冠動脈疾患もしくは糖尿病の合併症を有し,ACE阻害薬,β-
阻害薬,metforminもしくはinsulinを投与され,HbA1cもしくは眼科検査を受ける傾向が強かった;また併存症の罹患率も高く,コストも高かった(すべてP<0.05)。しかし,それらの変数の調整後でも,TZDの使用は心疾患を予測するものであった(hazard
ratio = 1.7,P<0.001)。調整後の40ヶ月での心疾患の事象は,TZD投与群は8.2%,コントロール群5.3%の発生であった。
また,TZDに関連する心疾患のリスクの未調整のハザード比は1.69だった(95%信頼区間1.38-2.06,P<0.001)。40ヶ月での心疾患の事象のKaplan-Meierの推定では,TZD投与群は8.8%,コントロール群は6.6%の発生であった(表1)。
TZDの種類によるハザードリスクの差について,global仮説検定(多群間検定)で有意差は見られなかったが,心疾患の発生率はtroglitazone(?400mg/日),rosiglitazone(?8mg/日),pioglitazone(?45
mg/日)の順に,3.15%,2.30%,2.03%であった。(表2)。
結 論:この観察研究の結果は,TZDは心疾患のリスクを増加する可能性があることを示した。医師は心疾患の患者には注意深くTZDを使用し,これらの薬物を服用している患者(特に心血管障害の患者)では,息切れなどの心疾患の徴候がある患者には代替治療を検討すべきである。
リスペリドンによる脳血管障害
FDA Patient Safety News (2003年11月,2003年11月3日掲載):・Janssen
Pharmaceutica のRisperdal(risperidone)に関するWarning;表示の『警告』の項に,臨床試験において痴呆に関連した精神病を治療された高令者において死亡を含む脳血管の有害事象(脳卒中,一過性脳虚血発作)がみられたことについて,痴呆に関連した精神病に対して承認されていないことなどを追加
リスペリドンは統合失調症にしか適応はないが,わが国でも実際には痴呆患者の精神症状に対して使われているので,同様の注意が必要である.
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Itraconazole誘発性うっ血性心不全
Itraconazoleによる抗真菌治療は,CHF(うっ血性心不全)に関連がある。このまれではあるが重篤な副作用と,個々の患者におけるitraconazoleによる治療のリスクとベネフィットの考慮の必要性について,処方医に注意を喚起する。Itraconazoleによる治療を開始する前に,うっ血性心不全の徴候と症状について患者に知らせなければならない。
Itraconazoleは局所および全身の真菌感染の治療に用いられる
Itraconazoleは,ニュージーランドで皮膚および爪の真菌感染症,外陰部腟カンジダ症,全身性真菌症の治療に対して承認されている合成triazole誘導体である。Itraconazoleは幅広い抗真菌スペクトルを持ち,真菌細胞膜の必要成分であるergosterolの合成を阻害する。
Itraconazole使用に関連したCHFのニュージーランドの症例報告
Itraconazoleは陰性変力作用を示し,CHFの報告に関与している。副作用モニタリングセンター(CARM)は,itraconazoleによる治療が関連したCHFの以下の報告を受けている。
41歳の健常男性が足指爪真菌症で,3ヶ月間itraconazole(400mg/日)のパルス療法(1ヶ月毎に1週間)を受けた。パルス療法を受けた週ごとに,くるぶし腫脹,体重変動,労作性息切れ,顔面腫脹が現れた。4ヵ月後,足指爪真菌症が再発したので,itraconazole(400mg/日)パルス療法を6ヶ月間受けた。その5ヶ月目に患者は,顕著な体重増加(1ヶ月に6kg),末梢性浮腫,左側胸部鈍痛,血圧上昇が現れた。心エコーを行ったところ,軽度の左心室肥大以外の所見は正常範囲内で,スポーツ心を示していた。他の臨床的症状もなく併用薬もない患者が,itraconazoleパルス療法を受けた後,心不全と診断され,入院した。Itraconazoleを中止したところ,患者は後遺症もなく回復した。
危険因子のない患者においてもItraconazole誘発性CHFを考慮すること
Itraconazole誘発性CHF の機序は,現在のところ解明されておらず,心臓障害への可逆性もわかっていない。CHFの危険因子がある患者とそうでない患者におけるCHFの比較発生率を得るには,十分なデータがない。そのため,itraconazoleは誰にでもCHFを起こす可能性があり,ベネフィットが明らかにリスクを上回らない限り,CHFの既往がある患者には使用すべきでないということを,処方医に注意喚起する。リスク?ベネフィットの評価は,適応疾患の重篤度,および心臓または呼吸器疾患の既往がある場合など,CHFに対する個々人での危険因子を考慮しなければならない。危険因子のある患者には,治療開始前にCHFの徴候および症状を知らせるべきである。浮腫または息切れを呈しているItraconazole服用患者においては,鑑別診断の一環としてCHFを判断すること。Itraconazole使用中にCHFが進行した場合は,治療継続のリスク?ベネフィットを他の全身性真菌治療薬の有用性に対して再検討すべきである。
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Lee WM. Drug induced hepatotoxicity. N Engl J Med 2003;349:474-85.
肝障害は最も多い薬剤副作用であり,ここ5年間でも2つの薬剤(bromfenac & triglitazaone)が承認後,市場から引き上げられたように,引き上げの最大の原因である.また,合衆国では急性肝不全の原因の半分以上が薬剤性肝障害である.また,入院が必要な肝障害の2割を占める.このように薬剤性肝障害は臨床的に重要な問題である.下記のその要点をまとめた.
1.薬剤性肝障害の3/4以上が(用量とは関係ない)idiocyncracyであり,アセトアミノフェンに代表されるような用量依存性型の肝障害は少ない.
2.idiocyncracyによる肝障害は1/1000?1/100,000の確率で起こる.
3.idiocyncracyによる肝障害は服薬開始から5-90日の間に起こる.
4.症状が起き始めてからも使用し続ければ重症化して急性肝不全となる例が多く,isoniazideのように服用を続けても重症化しないのは例外的である.
5.どういうわけか女性が7割以上を占める.
6.complementary/alternative medicineによるものが増加している.これは日本でも同様.
7.アレルギー性反応の症状はほとんどの例で欠如する.
8.原因薬剤同定に役立つ検査法はない.したがって同定はしばしば困難である.
9.アセトアミノフェンの場合のN-アセチルシステイン以外に解毒薬はない.ステロイドの使用はcontrolled studyがない.
10.審査の過程で:薬剤性肝障害を95%の信頼性で有意に検知するためには,薬剤性肝障害の起こる割合の3倍,症例数が必要である.idiocyncracyによる肝障害の確率は1/1000?1/100,000だから,どんなに肝障害の確率が高い薬でも3000例必要ということになり,第III相試験でも捉えることは不可能である.結局,市場に出てからはじめてわかるということになる.
11.ケーススタディ:
1)ブロムフェナックの場合:NSAIDとして97年に承認された.承認時は10日間以下の使用という条件が付けられたが,市場に出てからはその制限が厳守されるべくもなく,50例の重篤な肝障害が明らかとなって翌98年6月には販売中止となった.すべての肝障害例で30日以上使用されていた.
2)トログリタゾンの場合:インスリン抵抗性改善剤として97年1月に華々しく登場した.臨床試験では時に正常上限の8倍を越えるトランスアミナーゼ値の上昇が見られたが,可逆的であり,肝不全例はなかった.市場に出た後,肝不全例が出始めたが,当初はベネフィットが上回るとして,すぐには販売中止とはならなかった.しかし,その後,月ごとの定期的な肝機能検査を添付文書に追加したにもかかわらず,重篤な肝障害例が90例を越え(そのうち68例が死亡,10例が肝移植を必要とした)たため,承認から3年後に販売中止となった.
ニュージーランドの薬事規制当局のホームページからPrescriber
Update Articles(2003.10)
1. Drug Hypersensitivity Syndrome
薬剤性過敏症症候群
薬剤性過敏症症候群は重篤な症状を伴い,生死に関わる可能性がある。これは,発熱,発疹および内臓の症状を伴うのが特徴である。被疑薬の同定および早急な投与中止に加え,迅速な診断が重要である。原因薬剤の再投与は絶対に避けること。構造類似薬剤への交叉反応は一般的である。一親等血縁者間では,この症状が重篤化する傾向にある。
◇発熱,皮膚反応が最初の指標
薬剤性過敏症症候群(DHS)は,好酸球増加と全身症状を伴う薬物反応(DRESS)と呼ばれることがある。この症候群は発熱,発疹および内臓の症状(肝炎,心筋炎,腎炎,肺臓炎)の3つの臨床上の組み合わせで定義される重篤な特異体質性多重システム反応で,薬剤への曝露後1-8週後に発現する可能性がある。発熱は一般に初期の特徴で,通常は広範で長期に丘疹膿疱性または紅斑性の皮疹が続き,しばしば剥脱性皮膚炎に進行する。皮膚関連の変化の重篤度は,内臓関連の程度と相関せず,無症候のまま,あるいは生死に関わる可能性もある。DHSの死亡率は約8%と推定される。そのため発熱と発疹が現れている患者には,血液検査をできる限り早急に実施すべきである。好酸球増加と非定型リンパ球増加が一般的で,症例の30%に及ぶ。Allopurinol,抗けいれん薬(特にcarbamazepine,phenobarbital,phenytoin),sulphonamidesが最も原因となりやすい薬剤である。抗けいれん薬によるDHSの発現率は,1/10,000と推定されている。
◇薬剤性過敏症症候群を起こすと報告されることの多い医薬品
Abacavir, Allopurinol, Atenolol, Azathioprine, Captopril,
Carbamazepine, Clomipramine, Dapsone, Diltiazem, Gold salts,
Isoniazid, Lamotrogine, Mexiletine, Minocycline, Nevirapine,
Oxicam NSAIAs, Phenobarbital, Phenytoin, Sulphasalazine, Sulphonamides,
Trimethoprim
◇病態生理学は不明
DHSを起こす根本的な機序はほとんど解明されていない。活性酸化代謝物の解毒の欠陥および遺伝的素因が,slow
acetylatorのように,この症候群の病態生理学に関与が示唆されている。ウイルスの重感染?特にヒト・ヘルペス・ウイルス6(HHV6)の活性化?も疑われている。
速やかな認識と服用の中止が予後を改善する
DHSのさまざまな発現は,診断にかなりの混乱をもたらしており,薬剤の関与も強く疑う必要がある。診断は臨床症状(発熱,発疹および内臓の症状の組み合わせ)に基づき,好酸球増加と肝機能検査値の異常所見が裏付けとなる。治療としては,疑わしい薬剤をすべて早急に中止し,症状の対症療法を行う。
DHSは曝露後8週間まで発現の可能性があるので,原因薬剤の同定には高度な慎重さが要求される。薬剤の使用と症候群の発現との時間的因果関係が,最も重要な指標となる。DHSが起きた患者は,原因薬剤への再曝露を避けなければならない。
◇ステロイドの全身投与はある程度効果がある
副腎皮質ステロイドの全身投与が,剥脱性皮膚炎,肺臓炎かつ/または肝炎等のより重篤なDHSの症例に通常用いられる。副腎皮質ステロイドが漸減されると再発の可能性があり,治療は何週間にもわたるかもしれない。比較臨床試験がないので,副腎皮質ステロイドの予後への効果は不明である。
◇交叉反応と家族の疾病素質に注意する
交叉過敏反応は,主な3つの芳香族の抗けいれん薬(phenytoin,carbamazepine,phenobarbital)間で知られており,このうちの1剤でDHSを経験した患者は,3剤とも避けなければならない。エビデンスはわずかな症例報告しかないが,交叉反応はoxicam(piroxicam,tenoxicam)などの非ステロイド性消炎鎮痛剤でも起きる可能性がある。DHSでは遺伝的素因が考えられるので,同じ薬剤に対して過敏性反応を示すリスクが高いことを一親等血縁者には知らせるべきである。
COX-2阻害剤は,期待されていたほど,胃腸障害が少ないわけではなく,重篤化するケースもあり,注意が必要である。同様に,Steavens Johanson 症候群などの重篤な皮膚障害についても注意が必要である。最も,注意すべきは,循環器障害で,心筋梗塞などの血栓症の発生が従来のNSAIDsに比べ有意に高い。
COX-2阻害剤はあなたが期待していたほど安全な薬ではないし,NSAIDsの嫌な副作用を解消できる魔法の薬でもない.NSAIDsよりも多少はましという程度.さらには,NSAIDsにはなかったような副作用が明らかになってくるかもしれない.以下,-COX-2阻害剤の安全性について-(海外関連機関医薬品安全性情報より)
Celecoxib
各国とも,大規模臨床試験CLASS研究の結果を重視した安全性情報を出している。
消化器障害については,従来のNSAIDsよりも若干軽度な傾向。しかし,出血,潰瘍など重篤なケースもあり。
BMJ(2002;324:1287)によると,diclofenacやibuprofenと同程度の消化器障害を示唆した。
オーストラリアからは,重篤な皮膚障害,腎不全や浮腫も数件報告あり。
また,warfarinとの併用の場合,INRが上昇し,胃腸出血,頭蓋内出血等の重篤なケースが多く報告されており,注意を呼びかけている。これには,代謝酵素CYP2C9が関与しているのではとしている。
Rofecoxib
各国とも大規模臨床試験VIGOR研究を報告。
消化器障害については,rofecoxibはnaproxanに比べ半分以下だが,その危険性を指摘。
特に,高齢者は要注意で,重篤な胃腸障害が稀に起こる。
オーストラリアの報告では,消化器障害の発生率は,rofecoxibはcelecoxibの1/6弱である。
循環器障害は高い発現率で,MCA(現MHRA)は心不全,心筋梗塞の発現で,死に至るケースを指摘している。FDAは循環器の血栓塞栓症は,naproxenに比べ高率で発生するとしている。
ニュージーランドから重篤な肝障害についての報告もあった。
また,celecoxibと同様に,rofecoxibもwarfarinとの併用の場合,INRが上昇し,重篤なADRが報告されており,注意を呼びかけている。
Parecoxib
EMEAが重篤な皮膚障害の危険性を指摘。Steavens Johanson 症候群,多形性紅斑,中毒性表皮壊死症,剥脱性皮膚炎等。
NHS(英国)は短期間の副作用として,消化不良,末梢性浮腫,血圧変化,そう痒,乏尿等で,術後治療にketorolacにとって代わる鎮痛剤ではないかとしているが,他の鎮痛薬に比べかなり高価である。
また,VIGOR studyによると,COX-2阻害剤は抗血小板作用に欠けるのではとしている。
Rofecoxibはnaproxanに比べ有意に消化器障害が少ないが,有意に血栓症(心筋梗塞等)を引き起こす確率が高いとしている。
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雑記帳
Ann. Pharmacother. 37(11)1730/(2003.11) Vitamin B12欠乏症 長期胃酸抑制治療(Omeprazole,Ranitidine,Cimetidine,Sodium
Bicarbonate)に関連したVitamin B12欠乏症:6症例(高令者を含む)の報告
Zoledronic Acidの使用による腎不全
〔N Engl J Med. 2003 Oct 23;349(17):1676-1679.〕